ヤクザから16歳で覚醒剤を教えられ…33年間やめられず廃人寸前まで堕ちた55歳女性YouTuberが語る薬物依存の恐怖

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刑務所でもやめようとは思わなかった

 初犯だったため執行猶予を得られたが、半年も経たずして再び男と喧嘩してまた警察沙汰に。任意採尿を頑なに拒んだが、最後は令状を持ってこられて強制採尿された。そして、前科分と合わせて2年8カ月間刑務所に行くことになった。

「それでもクスリをやめようとは思わなかった。服役中は男への復讐心しかありませんでした。あの男とさえ出会わなければ捕まらなかったのにと、男のせいにしてしまったのです。女子刑務所って殺人、窃盗、運び屋などさまざまな罪を背負った人たちが集まっているんですが、一番多いのがポン中なんです。彼女たちと休み時間になるといつもクスリの話で盛り上がる。『あの時のネタは効いたよ』なんて話していると、またやりたくなるのです」(刑務所暮らしについては別稿「女性刑務所は『前歯のない人ばかり』 元受刑者が語る殺人犯と並んで浴びた『15秒シャワー』」へ)

 刑期を終えて家に帰ると、隠し持っていた覚醒剤のパケを手に取った。そこで初めて逡巡する自分がいた。

「いまのこのクリーンな状態を捨ててしまって本当にいいのかって自問自答しました。せっかく3年間もヤクを抜いたこの綺麗な体を汚してしまうのはもったいなくないか。33年覚醒剤を続けてきて、どれだけ周囲の信頼を失ってきたのか。気づいたらまともな人間関係なんか残っていなかった。成長した子供たちのことも考え、初めて真剣にやめようと決意しました」

「ねえさん」と慕ってくれるリスナー

 以来、懲役に行った期間も合わせると7年、覚醒剤から足を洗った生活を続けている。

 刑務所から出てきた時は50歳になっていたが、下の子供二人はまだ学校に通っているので働かなければならない。運送屋、防水加工、鉄筋屋などのガテン系の職場を転々としてきた。そんな地味な暮らしを5年続けて55歳になった今年、知人の紹介でたまたま出会ったのが、自身が経験した3度の刑務所暮らしをパロディー風に紹介しているVTuberの懲役太郎氏だった。

「誰も経験しないような破天荒な人生を歩んできたんだから、逆にそれを武器にして商売にしちゃえばいいんじゃないか」

 そんな勧めを受け、軽い遊びのつもりでYouTubeを始めてみたら思いの外、反響が出た。たった2カ月で登録者数は6500人まで増え、今月から収益化できるように。稼ぎはまだ微々たるものだが手応えを感じている。

「毎日のようにコツコツ生配信を続けています。たいした芸もなく、みっともない半生を振り返って面白おかしく喋り続けているだけなんですが、ありがたいことにファンも増えてきて……。堕ちるところまで堕ちてしまったこんな自分でも、必要とされる場所があったんだと思いました」

 一方、アンチからは「どうせまた手を出すに決まっている」と叩かれ続ける日々だ。

「もちろん、そう思われても仕方ない。ポン中とはそういうものです。でも、必死にもがきながら頑張っている弱い人たちを切り捨てない社会であるべきだとも思う。だから、私を応援してくれる人がいる限り頑張っていこうと思っています」

デイリー新潮編集部

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