女子刑務所の「同性愛」「イジメ」「グルメ」事情 ――「組長の娘」の告白

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女囚たちの「大学」生活

 アメリカのB級映画や日本の成人映画で根強い人気を誇っているジャンルの1つが「女囚」モノだ。急に投獄されたヒロイン(もちろん美人)が、刑務所内でのイジメなど様々な試練に立ち向かう、というもので、そこに必ずお色気要素が散りばめられているのが定番である。

 実際の女子刑務所はどのようなものか。

 気鋭の犯罪社会学者、廣末登氏の近著『組長の娘 ヤクザの家に生まれて』には、当事者の貴重な証言が掲載されている。同書は、中川茂代さん(仮名)という女性の人生を聞き取りしたドキュメント。

 関西のヤクザの娘として生まれた中川さんは、覚醒剤譲渡・使用の罪で収監された経験を持つ。

 以下、同書から引用しながら女子刑務所内の「食事」「イジメ」「同性愛」事情について見てみよう。なお、文中に出てくる「大学」とは「刑務所」のこと、「先生」は「刑務官」のことである。

ヨーグルト+麦飯

(1)刑務所グルメ

 ご飯は正月以外は麦飯。おかずも決してうまいものではなく「一口で言うとエサ」というレベルだったという。

 ただし、そんな環境でも彼女たちは、女性らしく知恵を絞って、「デザート」を自作していた。

 たとえば、「アンコパン」。ぜんざいとパンの食事が出ると、ぜんざいの小豆をスプーンで丹念に潰す。この即席アンコをコッペパンに塗り、さらにマーガリンをかけると「絶品やで」とのこと。

 また「即席リゾット」は、朝食に出たヨーグルト(ヤクルトのジョアなど)を麦飯の上から掛けて、仕上げにきな粉をまぶしたもの。

 あまり美味そうにも思えないのだが、中川さんは「珍味やで」と語っている。

 他にも「お茶にきな粉ぶちこんで」まぜたものを「ココア」として飲んでいたという。

(2)イジメ

「大学」の中には、イジメのピラミッドが出来ていて、弱い軍団が、より弱い者をイジメることになっていた。興味深いのは、イジメの理由の一つが「不潔さ」だという点だろう。

「女やからな、イジメも細かいで。汚いことすんの、イジメの対象やな。
 たとえば、コップの口を持つ奴おったら、
『誰がそこ持つの! あんた常識ないわ』言うてな(おいおい、常識ある人間やったら、大学に来てへんやろ)。
 トイレ行って手を洗わん子もやられるわ。『マジ汚(きった)なー、あんた手洗ったん』いうてな」(同書より)
 
 閉鎖された空間だけに、他人の不潔さは余計に気になるのかもしれない。

 こうしたイジメの対象となった女性は、雑居房で暴れて懲罰を受けることも多いという。

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