みそ汁は「若返りスープ」だった 「凍み豆腐」「卵かけご飯」…幸せな老後のための伝統長寿食

ドクター新潮 健康 食事

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一汁三菜とご飯、漬物を配置する「膳」

 では、医療の力だけに頼らず、「平均寿命≒健康寿命」を実現するためにはどうすればいいのか。

 私は今こそ、「食の力」を再認識する必要があるのではないかと考えます。食は人なり。やはり人間を作るのは食です。そして、ファストフードなど欧米の食文化が定着し、寿命と健康寿命の差が開いている現代こそ、日本の伝統食の魅力と素晴らしさを見つめ直す好機だと思うのです。

 なにも難しいことではありません。例えば、古くから日本の食卓を支えてきた「膳」への回帰です。一汁三菜(主菜、副菜、副々菜)とご飯、漬物を配置する和食の伝統である膳は、食のバランスを全て網羅するかのように、実に機能的です。「膳=全」。そういえるほど、日本の伝統食は理に適っているのです。

身体のメカニズムそのものは2千年前も今も変わらない

 では、「膳=一汁三菜」の機能性はどこにあるのか。それは、欧米型のファストフード文化と比べてみると、より浮き彫りになると思います。

 ハンバーガーにしてもホットドッグにしても「一品完結型」です。その一品だけを食べたら終わりで、あとはせいぜい食後にコーヒーを飲むくらい。そこにはバランスが決定的に欠けています。つまり偏食です。

 人間の身体は、基本的に昔から大して変わっていないはずです。それこそ卑弥呼の時代から、平均身長が伸びたとかいうことを除けば、身体のメカニズムそのものは2千年前も今も変わらない。

 そして、私たちの先人は、人間の身体にとって健康的な食とは何かという探究を営々と積み重ねてきました。その象徴的な答えのひとつが膳なのです。この歴史ある食文化が、欧米型の食文化の普及で破壊されてしまった。このことが、寿命と健康寿命の差に表れていると私は考えています。

 それでは改めて「膳の力」を検証してみたいと思います。

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