水谷豊が明かす“寺脇降板”秘話 「いつまでも居ちゃだめだ」とアドバイスした理由とは

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撮影が終わると涙を浮かべるほど「過酷な現場」

 ゲストが口をそろえて「楽しい現場だった」と語るのも、彼がその雰囲気を作っているからだ。

「及川光ちゃんもそうだった。ナリ(成宮)もそうだった。ソリも。みんな最初のシーズンの撮影が全て終わったときにね、必ず涙を浮かべますよ。そのくらい7カ月の撮影は過酷なんです。日々芝居を作って、台詞を覚えて芝居してというのは。ましてやね、すでにあるチームに入ってくるわけだから。精神状態もいろんなことになると思う。それを乗り越えてたどり着くから、ある種の感動が芽生えるんですね。特に最初の1年はインパクトが強い。終わったときに抱き合ったり、涙ぐんだりするのは(歴代の相棒たち)みんな同じです。よくやったね、って」

 成宮も及川と同じく、3年で降板した。最終話の「ダークナイト」はファンにとっては衝撃的な終わり方で、話題を呼んだ。

「あれもひんしゅくを買った作品ですね。右京としては、カイト君の思いは正しい、だけどやり方は間違っている、ということです。要は彼の正義感を責めることはできないけど、警察官としては間違った。でも、人ってああなってもおかしくはないんですよ。僕は、人は極限までいくことがあるという話を、ものすごく納得して演じていたんです」

 右京はカイトと別れるとき、また会えるときがくると話し「待っています」と告げる。再会を予感させるようなラストシーンだが、3年の出演期間は既定のことだったのだろうか。

成宮からのあいさつ

「ナリの場合は、若い分、あまり長くこっちに縛っておくのもどうかという判断です。俳優として他にやりたい仕事も当然あるだろうし。そういう意味での3年だったんですね。それに、常に前へ向かう『相棒』としては、これくらいのスピード感は必要かと」

 新たな活躍を期待しての降板だったが、その翌年、成宮は芸能界からの引退を発表した。

「残念でした。僕にはちゃんと連絡がありましたけどね。こういうことになりました、ありがとうございました、というあいさつが。彼が自分で選んだ道ですからね。俳優じゃなくてもいいんですよ。いい世界を持ってほしいと思いますね」

 4代目の冠城亘役に選ばれた反町隆史は、7年間の出演で歴代相棒の最長記録を達成した。

「ソリは、ナリと違って年齢的にも落ち着いた状態にいたから、できる限りやろうということで、ここまで長く続いたんです」

 水谷は反町について「とにかくタフ」と語る。

「精神が本当にタフだと思いましたね。7カ月間、毎日脚本を読みながら2本並行で撮影して、終わったらまた新しい脚本が届いて、次の撮影に入る。シーズンの初めと元日には2時間スペシャルもある。客観的に見ると大変なことで、精神がどこかに行きそうになるんですよ。しかもソリは4代目で、13年かけてすでに出来上がっている世界に入ってきて、7年間それを続けたんですからね」

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