水谷豊が明かす“寺脇降板”秘話 「いつまでも居ちゃだめだ」とアドバイスした理由とは

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「ソリは本当にいい奴」

 水谷は「これまで嫌な俳優に会ったことがない」と言うが、なかでも反町は特別だった。

「ソリは本当にいい奴。人間性というか、温かくて人への優しさを持っている。一緒に仕事してよかったなと思うし、お互いにまたいつかチャンスがあったら、やろうねとなる。もちろん、代々の相棒に対しても同じ気持ちだけど」

 相棒は亀山薫、神戸尊、甲斐享、冠城亘と続いたが、これらの名前には(か)で始まって(る)で終わるという共通点がある。

「名付け親の輿水さんは3人目までまったく気付いていなくて、その法則を発見したのは同じ脚本家の戸田山(雅司)さん。輿水さんは戸田山さんに指摘されて初めて気が付き、法則に従って冠城亘と命名したそうです」

 そして「最後の相棒」となる亀山薫が帰ってきたことで、この法則は完結した。

「相棒が交代して、右京が変わるとすれば、自然に変わるわけで、それが一番いい。ただ、右京は何があっても前に進みます。あの頃はできなかったけれど、今ならできるという発見が、必ずあるはずですから」

 今回、水谷は初めて自らの来し方を振り返る取材に応じた。

「60歳のときだったら、たぶん依頼を受けなかったと思います。まだ振り返る時期ではないと。古希を迎えた今年が、タイミングだと思ったんです」

「相棒」の話にとどまらない、「70歳までの人生とこれから」を水谷が語り尽くす。

(以下次回)

水谷 豊(みずたにゆたか)
俳優。1952年生まれ。13歳の時に劇団ひまわりに入団。「太陽にほえろ!」「傷だらけの天使」「熱中時代」など多くの人気ドラマに出演。「相棒」では20年以上にわたり杉下右京役を演じ続けている。6月に公開された「太陽とボレロ」など、映画監督としてもこれまで3作品を発表。10月に「相棒season21」がスタートする。

松田美智子(まつだみちこ)
作家。1949年生まれ。フィクション、ノンフィクションともに多くの作品を手掛けてきた。小説に『天国のスープ』、ノンフィクション作品に『越境者 松田優作』『仁義なき戦い 菅原文太伝』などがある。

週刊新潮 2022年8月11・18日号掲載

独占告白!「『水谷豊』初の語り下ろし自伝」より

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