京都の「百寿者の町」秘密は最強の善玉菌・酪酸菌だった 高齢者の腸内フローラに驚きの特徴が

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 ヤクルト1000で乳酸菌が脚光を浴びているが、それだけが善玉菌ではない。「百寿者の町」として知られる、ある地方自治体での調査の結果、別の細菌が長寿の要因として浮かび上がってきたのだ。その名は酪酸菌。長生きするための食生活の秘密を専門家が説く。【内藤裕二/京都府立医科大学大学院医学研究科教授】

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 売り切れ続出のヤクルト1000に含まれる乳酸菌、そして整腸作用以外にもさまざまな働きで注目されるビフィズス菌。このふたつに続き、いま「第三の善玉菌」が注目されています。その菌は乳酸菌やビフィズス菌よりも“強い”一面を持つことから、「最強の善玉菌」ともいわれています。それが、私たちの研究で長寿の源であることが分かってきた酪酸(らくさん)菌です。

〈こう解説するのは、京都府立医科大学大学院医学研究科の内藤裕二教授(生体免疫栄養学講座)である。

 内藤教授の「職場」がある京都府には、人生100年時代を迎えた現在、とりわけ脚光を浴びている、ある地域が存在する。京都駅から北に特急で約2時間半、日本海に面した丹後半島に位置する京丹後市だ。

 丹後ちりめんで知られる同市は、人口約5万2千人ののどかな漁業の町である。他の地方の市町村と同様、否応なく過疎化の波に襲われているが、そんななかでも京丹後市が注目されている理由は、同市が「百寿者の町」、つまり100歳以上の方が多い町であるからだ。

 例えば2020年のデータによると、人口10万人あたりの百寿者の割合は全国平均で63.76人、京都府は74.56人。それに対して京丹後市は202.51人と、全国平均の実に3倍以上の数字となっているのである。〉

長寿の秘密として浮上した酪酸菌

〈「百寿者王国」ともいうべき京丹後市には何か“秘密”があるに違いない。

 そこで京都府立医科大学と京丹後市立弥栄(やさか)病院は2017年から共同で、京丹後地域(京丹後市、宮津市、与謝野町、伊根町)に暮らす65歳以上の高齢者800人超を経過観察する「京丹後長寿コホート研究」を開始。調査内容は食事や睡眠時間、血液等々、600以上の項目に及び、現在も続けられている。

 そして、その研究内で京丹後市に住む51人と、京都市で暮らす同じく65歳以上の高齢者51人それぞれの便から、腸内環境を調査。すると、京丹後の長寿の秘密として浮かび上がってきたのが酪酸菌だったのである。

 今年の2月に著書『酪酸菌を増やせば健康・長寿になれる』を出版した内藤教授が続ける。〉

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