高齢者は睡眠時間が長いと「死亡リスク1.57倍」? 50~70代が目指すべき睡眠時間とは

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なぜ睡眠の質が向上する?

 だが、ヤクルト1000が「睡眠の質向上」につながるという根拠はあるのか。そのメカニズムを、乳酸菌研究の第一人者である東北大学名誉教授の齋藤忠夫氏に説明してもらおう。

「腸内には千種類以上、100兆個くらいの菌がいて、内訳は小腸に1兆個、大腸に100兆個ほどです。ヤクルト1000には善玉の乳酸菌シロタ株が1千億個入っていて、まずは腸内細菌のバランスをとって腸内環境を改善する整腸効果があります」

 睡眠の質を向上させるメカニズムはどうか。

「科学的に矛盾のないいくつかの仕組みがあると思います。ヤクルト1000に使われている乳酸菌シロタ株は胃酸・胆汁耐性が強く、生きたまま小腸に入ります。小腸には、良い菌か悪い菌かを判断するセンサーがあり、そこを1千億個という多数の乳酸菌が通ると、脳腸相関というルートを通って自律神経に影響を与えます。ヤクルト400の3倍近い乳酸菌の個数が、昼間にストレス緩和を促すセロトニンを作らせ、夜間に睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの分泌を促し、睡眠の質向上につながっていると考えられます。また原料の脱脂粉乳には、トリプトファンという必須アミノ酸が多く含まれ、それが多いほどセロトニンが形成されやすくなります。メラトニンを合成するにはセロトニンが必須なので、その点でも科学的に矛盾なく説明できると思います」

 それに、そもそも乳酸菌が腸に達するとセロトニンの分泌が促されるという。

昼間の活動が少ないから眠れない?

 さて、睡眠の悩みを抱える人が多い日本でも、高齢になるほど悩みは深まるようだ。事実、高齢者にとって状況は深刻なのか。『80歳の壁』などの著書がある高齢者専門の精神科医、和田秀樹氏は、患者から不眠の悩みを相談されると、

「翌日、仕事があるのでなければ、あまり気にしないほうがいいですし、どうしても眠ければ昼寝をすればいいですよ」

 と答えるという。まずはその理由を整理することで、高齢者の睡眠に関する問題点を浮き彫りにしたい。

 和田氏が説明する。

「年を取ると睡眠のパターンが変化する方が多く、具体的には深い睡眠の割合が減って、浅い睡眠が長くなります。加えて前立腺肥大などの病気で尿が近くなる方が多く、夜中に目が覚めやすくなります。深い睡眠の割合が減る理由はさまざまな要因が考えられ、断言するのは難しいですが、日中の活動量が減るのが理由だと主張する人は多いです。実際、昼間の活動が極端に減った人などは、疲れないから寝ないというケースがあって、ラジオの深夜放送を聴いたりネットフリックスを観たりするうちに、さらに眠れなくなってしまう人は多い。疲れていないところに刺激が強いものを観ると、結局、眠れなくなってしまうのです」

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