肝臓・胆道・膵臓の「難治がん」との賢い闘い方6 真にあきらめない治療とは?

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「〇〇で治る」「〇〇で消えた」の嘘

大場:インターネット上で「がん(癌)」「あきらめない」というワードで検索すると、インチキのオンパレードです。インターネット上での規制も厳しくなってきたとはいえ、まだまだ海外での規制レベルと比べると緩過ぎます。あるいは、一般向けの書籍に目をやると、いつの時代もエセ医学本はベストセラーとなりやすい。このような傾向はとくに日本に限って目立ちます。うまい秘訣がどこかに隠されていないか、藁にもすがりたい患者心理にとっては、「〇〇で治る」「〇〇で消えた」のようなメッセージはインパクトがあり、どうしても引き寄せられやすい。

 日本には詐欺的医療に対する法的規制がないに等しいため、いくらインチキだとわかっていても、医療広告ガイドライン程度の切り口からでしか問題視されにくい。薬事法でも未承認治療の効能や効果を宣伝してはだめなわけですが、これが一向になくならない。

 前回議論した腫瘍内科専門医の数が少ない過疎地域ほど、詐欺をはたらくクリニックが多くなる傾向にあるようですが、各自治体は見て見ぬふりをしていることがほとんどでしょう。クリニックで行われている免疫細胞療法やがんワクチン療法といった、がん免疫力アップを謳う聞こえのよい類は、ほぼ100%インチキだと断言してよい。あと、基礎研究者が主として出しゃばるような治療も眉唾と考えてよいでしょう。先に触れた免疫チェックポイント阻害剤を併用しているクリニックもあるようですが、これら薬剤を各製薬企業から卸・使用認可を得たのは私のクリニックが国内初であり、基本的にそれ以外の薬剤仕入れ先は闇ルートだということも知ってほしいです。

 もちろん、騙す方が悪いに決まっているのですが、このような病理を生み出してしまう背景には、医師と患者とのコミュニケーション不足や信頼関係の構築の欠如があるからでしょう。わが身も省みながら、できる限り、患者さんを冷たく手放して難民化させないことに尽きます。そこで、進藤先生にお尋ねしたいのですが、真に「あきらめない」治療とはどのようなことを意味しますでしょうか?

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