肝臓・胆道・膵臓の「難治がん」との賢い闘い方5 ステージIVと言われたらどうすればよいのか?

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ステージIVでも治癒できる

 他臓器に転移がみられる「ステージIV」のがんにはどうしても絶望的な印象がつきまとう。しかし、同じステージIVでもグラデーションや程度があること、そして、大腸がんであれば、転移をしても治癒するポテンシャルが残されていることなどがこれまでの対談で明らかになった。ステージIVと言われたときにどう振舞うのか。現代を生きるうえで心構えを知っておくのは大切だ。

大場:生存率という切り口で判断すると、どのがん種でも「ステージIV」は難治がんの範疇になってしまいます。従来から変わらない考え方として、転移という出来事は、すでに全身病化している「氷山の一角」を示すものなので、手術で見える転移巣をいくら取り除いても、なにか局所治療を施しても生存利益を見出すことが難しい。したがって、すでに全身に宿るがん細胞に対して抗がん剤治療を行うことで、がんの進行を制御し、QOL(生活の質)を維持することが治療の目標となります。要するに、治す というゴールを目指すのではなく、上手にがんと共存するというふうにマインドセット(心構え)を変えることが個々の患者に求められるわけです。

 ここまでが基本的な一般論ですが、これまでふたりで話してきた中で、とくに大腸がんの場合には「ステージIV」でも治癒できる一定の集団は存在します。

 一方、薬物治療の進歩として、免疫チェックポイント阻害剤という新たな治療コンセプトの台頭で、例えば肺がんや悪性黒色腫など、これまでになく奇跡のような効果を示すケースが増えてきていますが、決して治ったとまでは言い切れない。あと難しいのは、有効性は限定的で効能のある患者が予測できないのと、重篤な副作用リスクも常に念頭に置かなければならない厄介さがあり、決して魔法のような特効薬ではありません。進藤先生、腫瘍外科医の立場からほかにも治癒の可能性を追求できる疾患や考え方などがあれば教えてください。

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