核ミサイルを発射すれば「ベルリンまで106秒」 ロシアの“脅し”…核が使用される条件とは?

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「核ミサイルを発射すれば、ベルリンまで106秒」。ロシアのテレビでは女性キャスターが平然とそんな“脅し”を口にしているというから不気味である。戦況が膠着(こうちゃく)する中で対独戦勝記念日を迎えたプーチン大統領。追い詰められた独裁者は、核使用に踏み切るのか。

※この記事にはショッキングな描写が含まれています。

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 5月9日、第2次世界大戦の対独戦勝記念日を迎えたロシア・モスクワの赤の広場では大規模な軍事パレードが行われた。その日を前に、ウクライナ東部での攻撃を激化させたロシア軍の侵攻を、いまだ士気の高いウクライナ軍が必死に防いでいる――。こうした現状は新聞やテレビを見ていれば把握できるが、そこに今回の戦争のリアルな“手触り”はない。それよりは、次のようなニュースの背景にこそ、悲劇の実相が隠れているのではないか。

〈ロシア強制収容所、マリウポリ周辺に設置か 米大使、住民連行を懸念〉

 5月3日、産経新聞のデジタル版はそんな見出しの記事を配信した。

〈米国のカーペンター駐欧州安保協力機構(OSCE)大使は2日、国務省で記者会見し、ウクライナ南東部マリウポリ周辺にロシアが強制収容所を少なくとも四つ設置し、ロシア軍が制圧した他の地域にも複数あるとの見方を示した〉

ナチスの絶滅政策を思わせる「選別収容所」

 この記事で〈強制収容所〉となっている部分は外紙などでは“filtration camps”と報じられており、より正確に訳すなら「選別収容所」となる。

「ナチス・ドイツの場合、強制収容所の入り口で即時殺害か、強制労働に使うかの“選別”が行われました」

 そう語るのは、『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』(岩波新書)の著者で現代史家の大木毅氏である。

「今、ウクライナでも『選別収容所』ができ、ロシアにとって危険な人間はその場で殺害し、そうでない人間は重労働などをさせて使おうということであれば、いよいよナチスに近づいてきたという印象があります。だんだんとエスカレートし、システマティックになっていったナチスの絶滅政策を連想させます」

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