核ミサイルを発射すれば「ベルリンまで106秒」 ロシアの“脅し”…核が使用される条件とは?
殺りく行為をロシア国民はどう考えているのか
同胞であるロシア兵がウクライナの地で繰り広げている殺りく行為について、ロシア国民はどう考えているのか。5月8日、東京・渋谷で行われた反戦デモに参加した、日本滞在歴10年弱の49歳のロシア人男性に聞くと、
「80代の私の父親はモスクワにおり、スカイプを使ってやり取りができています。ただ、父はロシアがウクライナで“何か”をやっている、といった認識しかなく、戦争になっていることは理解していません。朝から晩までテレビから流れてくるプロパガンダに触れているので仕方ないことかもしれません」
やはりデモに参加した30歳のロシア人女性は次のように話す。
「モスクワにいる私の家族は皆戦争に反対しています。ただ、その立場を表明すると捕まってしまうので、家の台所などでひそひそ小声で話すしかないのです。どこで誰が聞いているか分かりませんから……」
ロシアから388万人が国外に“逃亡”
現在、ロシアではウクライナ侵攻を批判すると最長で15年の禁錮刑に処される可能性がある。ロシアの独立系メディアが報じたFSBの統計によると、今年1月から3月に約388万人がロシアから国外に出たという。ロシア国民の“絶望”を伝えて余りある数字ではないか。
そんなロシア国内の、気になる“変化”。それは、国営テレビなどで「核兵器」に関する過激な発言が公然と行われるようになったことである。例えば4月末、ロシアの国外向けテレビネットワーク「RT」編集長で保守の論客として知られるマルガリータ・シモニヤン氏は出演したテレビ番組でこう述べている。
〈核攻撃で全てが終わることは信じられないが、他の結果よりも起こる可能性が高いと私には思われる。一方では恐ろしいことだが、他方ではそういうものだと理解している〉
また、別の番組では女性キャスターがこう発言した。
〈核ミサイルをカリーニングラード(バルト海沿岸のリトアニアとポーランドに挟まれたロシアの飛び地)から発射すれば、ベルリンまで106秒、パリまで200秒、ロンドンまで202秒よ〉
筑波学院大学の中村逸郎教授(ロシア政治)の話。
「テレビなどで核使用に言及することには、軍事大国ロシアの面目を保つ目的があるのだと思います。そして軍事大国としてのアイデンティティーを失わないために、抑止力として核を保有するだけではなく、実際に使用してくる可能性はあると思います」
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