ウクライナ軍に提供される榴弾砲「M777」、砲弾「エクスカリバー」の強烈過ぎる破壊力 兵器の装備でもロシア軍は惨敗

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参謀総長を砲撃?

 現在、ウクライナには、NATO加盟国から送られた榴弾砲が次々に届き、「まるで榴弾砲の“見本市”みたいになっている」(同・軍事ジャーナリスト)という。

 これほどまでに榴弾砲が集まっているのは、ウクライナ軍とNATO軍の司令部が密接な連絡を取り合っている可能性があるからだ。

「戦車、ドローン、そして自走式榴弾砲といった火力が充実するまで、東部戦線で持ちこたえる必要があります。そのための作戦を、ウクライナ軍とNATO軍で共同して立案したのではないでしょうか。具体的には、ロシア軍の榴弾砲が届かない“安全地帯”から、M777で激しい砲撃を加えていると考えられます」(同・軍事ジャーナリスト)

 ここで思い浮かぶのが、時事通信が5月3日に配信した「ロシア軍トップの負傷確認できず 東部戦線で士気低下、補給に難―米高官」の記事だ。

《米国防総省高官は2日、ロシア軍制服組トップのゲラシモフ参謀総長がウクライナ東部ドンバス地方に滞在していたと明らかにした。ただ、ゲラシモフ氏が同地で攻撃を受けて負傷したとする一部報道については「確認する立場にない」と述べるにとどめた》

《高官は「ゲラシモフ氏は(前線を)視察し、戦況の評価を行った可能性が高い」などとの見方を示した。ウクライナ紙キーウ(キエフ)・ポストはこれに先立ち、ゲラシモフ氏が4月29日にウクライナ東部イジュームを訪問し、そこで奇襲砲撃を受けて負傷したと伝えていた》

東部戦線の戦術

 M777とエクスカリバーの性能は、前に説明した通りだ。記事にある《奇襲砲撃》が、M777の長距離砲撃を意味しているとすれば合点がいく。

「特に重要視している目標は、ロシア軍の兵站(へいたん)でしょう。東部戦線でもロシア軍の輸送能力は充分ではなく、部隊には必要な物資が届いていないと言われています。それでも、何とか最前線に届いた貴重な弾薬、食料、医療品といった物資の集積場をM777で砲撃することで、ロシア軍を干上がらせようとしているのではないでしょうか」(同・軍事ジャーナリスト)

 もちろんチャンスがあれば、戦車も砲撃する。こうしてロシア軍の侵攻を何とか食い止め、NATO諸国の武器が揃うのを待つ──。

「続々と送られてくる武器がウクライナ軍に行き渡り、自走式榴弾砲の訓練が終わるのが《遅くとも6月半ば》。準備が整えば、一気に東部戦線で反攻の狼煙を上げる。大統領顧問の発言を読み解けば、こんな感じになるのではないでしょうか」(同・軍事ジャーナリスト)

 反攻はまず、前方に展開するロシア軍の榴弾砲を砲撃。損害を与えたことが確認できたら、戦車と歩兵が協力しながら前進する──東部戦線では、このような戦術が採用される可能性があるという。

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