肝臓・胆道・膵臓の「難治がん」との賢い闘い方2 「名医ランキング」の功罪と病院の選び方

ドクター新潮 医療 がん

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肝胆膵外科分野は日本がリードしてきた

進藤:進行がんであったり、合併症を有していたりといったリスクの高い手術が必要な方は、やはりハイボリュームセンター(治療件数が多い施設)での治療が有利になる可能性はあります。進行した症例の治療に正解はありませんので、その成績は主治医のポリシーや経験、技量に大きく左右される部分であり、手術だけではなく術後合併症への対応など、治療の安全性を確保するという意味でも施設の体制や経験は重要となってきます。そうした意味では各施設の治療件数というのは一つの目安にはなります。

 一方、ハイボリュームセンターの間に差がありますかという問いについては「あまりない」というのが正しい答えだと思います。私が専門とする肝胆膵外科分野は日本が世界をリードしてきたという歴史があり、日本には手術が上手な先生が多数いらっしゃいます。我々の業界に神の手などいません。誰のところでなくてはできないという手術など基本的にありませんし、外科医の間に序列やランキングなどは存在しないのです。

大場:肝胆膵領域もそうですがほかの消化器外科分野においても日本が世界をリードしてきた歴史は本当ですね。そして、海外よりはるかに手術が上手な先生が多数いるのも事実でしょう。ただ、これまでの頭打ちの治療成績を冷静に振り返ると、手術だけで難治がんと勝負するやり方ではまずい。これからは、進歩し続けている抗がん剤治療をうまく組み合わせながら、患者個々に応じて戦略を考えていく時代にすでに突入しています。また、進藤先生の言う主治医のポリシーや経験、技量というところには、まだまだ格差があるように思います。ある意味、そこがエビデンスという共通項では語れない、患者にとって重要な意思決定の後押しをするファクターXですね。プロフェッショナリズムとでもいいますか。

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