浮気され「精神的殺人」と許さない妻、やまない尋問に疲弊する夫 “負のループ”に陥った夫婦の行方は?

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「亜樹が僕をどんどん優花の側に…」

 ことの顛末を誠司さんに知らせた。

「亜樹はいまだに混乱しているんでしょう」

 思いがけなく、誠司さんは妻をかばう。だから夫婦関係はわからない。対外的にそうやってかばってみせながら、さらに誠司さんはこう言った。

「距離を置きたいけど置けないんですよね、子どもがいるから」

 ふたりとも子どもを言い訳にしている。それが悪いとは言わないが、あと5年もたって子どもたちが成人したらどうするつもりなのだろう。

 コロナ禍で会う頻度が減っていた優花さんと、誠司さんは最近、また頻繁に会うようになっているという。

「むしろ5年後くらいにすべてが明るみに出たら、離婚のきっかけになるかもしれませんね。離婚したいわけじゃないけど、亜樹が僕をどんどん優花の側に追いやっているような気もするんですよ。ゲスなことを言っているとわかっていますが、わざわざ不機嫌な妻の元へ帰りたいと思う男はいない。誰にとっても一度しかない人生ですから、心安まる人、一緒にいて楽しいと思える人といるのがいちばんいいんじゃないか。最近はそんなふうに思っています」

 証拠のない浮気疑惑に対して騒ぎすぎだと言いたげな誠司さん。相手が誰かを告げないのは自分の優しさだと勘違いしている節がある。一方、夫が悪いのだから、どこまでも責めてかまわないと考えている亜樹さん。これでは関係が改善されようがない。優花さんだけが控えめに、だがどっしりと構えている印象だ。子どもたちの成長とともに、誠司さんが言うように徐々に優花さんの比重が高くなっていくのかもしれない。だがそのとき優花さんがすべてを受け入れるかどうか、それもまた闇の中だ。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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