元極道YouTuberが振り返る「ヤクザの壮絶リンチ現場」 恐怖の絶頂で人間が放つ「凄まじい臭い」とは

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臆病者でいられたからいまがある

 私はそのリンチ現場に居合わせながら、これは自分にできないと思った。自分が臆病者なんだと知りました。こんなところから早く離れなきゃとも思いましたが、その後ずるずる20年くらい稼業を続け、3度も懲役にも行き、最後は出奔して組から抜けました。

 その間、非暴力を貫きました。若い衆がつくようになっても、ヤキを入れたことは一度もありません。刑務所の中では、同じヤクザ者に殴られるようなこともありましたが、決して殴り返さなかった。

 みんな笑っていましたよ、「お前、本当にヤクザなのか」と。でも、私は構いませんでした。一度、暴力の恐怖で人を制御し、支配する手法を覚えてしまい、それを貫いたらどうなるか。

 あの時、何食わぬ顔でリンチしていた組長は、非業の死を遂げたと伝え聞いています。カシラも、いまどこで何をしているか、生きているのか死んでいるのかもわかりませんが、きっと畳の上で死ねるような人生を送っていないでしょう。

 元ヤクザYouTuberなんて名乗っていますが、ニセ物のヤクザだったのかもしれません。でも、それで結構です。任侠道をまっとうできなかったかもしれないけれど、人としてギリギリ、道を踏み外さなかった。だから、いまこうして、シャバで暮らし続けられているんだと思っています。

懲役太郎(ちょうえきたろう)
バーチャルYouTuber。2018年に活動を開始。YouTubeチャンネル登録者数41万人。総再生回数は1億5000万回を超える(2022年4月現在)。「バーチャル刑務所」に服役中で、「前科3犯、893番、懲役太郎です」がお決まりの挨拶。

デイリー新潮編集部

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