元極道YouTuberが振り返る「ヤクザの壮絶リンチ現場」 恐怖の絶頂で人間が放つ「凄まじい臭い」とは

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忘れ得ぬ臭い

 では、どうやって謝らせるか。実は、人の心を折るのに一番有効なのは、殴る蹴るの“打撃”ではありません。流血させること。これが一番効果的なのです。でも、ナイフを使えば死んでしまいます。

 どうするかというと、パンツ一丁にして、革靴の踵で、体じゅう切るように蹴っていくわけです。額、頬、肩、背中、太もも……。体じゅうの皮膚をあますことなく切りつけていく。人は自分の血を見ると、恐怖に支配され、闘争心を失ってしまう。最後は「すみませんでした」と全員落ちました。リンチが始まって、3〜5時間くらい経過していたと思います。

 私は立ち尽くし、見ているのが精一杯でした。忘れ得ないのは、あの時感じた臭いです。最初は血の匂いかなと思ったんですが、”いや、違う、口臭だ”と気づいた。彼らの口から漏れ出る息は、血の臭いとあいまって、すさまじい悪臭を放っていました。

 ニンニクを食べた後の臭いに似ていました。もう一発入ったら死ぬぞ、というくらいの息絶え絶えの状態で、人は恐怖の絶頂に立たされると、こんな生臭い息を放つんだと思いました。

小さな塊

 結局、組の者を迎えに来させ、彼らは病院に運ばれ、一命は取り留めました。すごかったのは、組長はやってきた敵方の組員たちに後片付けまでさせたこと。彼らもびっくりして何も言い返せず、黙って血だまりを雑巾がけさせられているのです。

 その様子を傍観していた私は、床に小さな塊が落ちているのに気づきました。拾い上げると、爪のついた指でした。刃物は使っていないのに、どんな蹴り方をすればそんなことになるのか、今もわかりません。カシラは「トイレに流しておけ」と私に言いつけました。

 翌日、警察が入ることになり、カシラが自分一人でやったと出頭して逮捕されました。鑑識が事務所中に薬品をかけ、ルミノール反応で浮かび上がった時のあの白さも目に焼き付いています。前の晩に目撃した、血の黒色とのコントラストがすごかった。血は赤色だと思っている人も多いと思うのですが、実はどす黒い色をしているんです。

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