東京五輪女子バスケ主将・高田真希が語る“快進撃”の理由 空手の経験もプラスに(小林信也)

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 東京五輪で銀メダルを獲得したバスケットボール女子日本代表。その中心にいたのがセンターで主将を務めた高田真希だ。身長185センチ。恵まれた高さの持ち主だが、バスケをやめよう、と悩んだ経験がある。

「高校1年の夏でした」

 高田は愛知県豊橋市の公立中学でバスケを始めた。

「ほとんど実績はありませんでしたが、全国優勝が当たり前というチームからオファーをもらって、これもタイミングだと思った」

 名古屋にある強豪・桜花学園の一員になった。

「私の唯一の武器である高さが高校では通用しませんでした。技術もない。しかも、全然体力がなくて……」

 短いダッシュは得意だが、長距離走は苦手。すぐに疲れて練習についていけない。あきらめかけた時、

「貧血じゃないのか?」

 井上眞一監督の一言が高田のバスケ人生を救った。

「病院で調べると、ヘモグロビンやフェリチンの数値が低かった。運動すると血液中のエネルギーがすぐ空になる状態でした」

 週3回通院し、点滴を受けるなど治療を重ねると体調は一変した。

「走るプレーが得意になりました。先頭でボールをもらって、そのまま走ってレイアップを決める。簡単に点が取れるようになって、バスケが楽しくなった」

 次に壁にぶつかったのは19歳、初めての海外遠征の時だった。

「オーストラリアの2メートル近い選手に吹っ飛ばされて尻もちをついた時、この高さ、この壁とこれから戦うのか、と衝撃を受けました」

 世界の強さ高さは想像以上だった。その時、高田を助けたのは、中学卒業まで続けていた空手だった。

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