プーチン、150人スパイ粛清で権力基盤は崩壊寸前 諜報機関トップの“合成動画”を敢えて流した狙い

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 イギリスの高級紙・タイムズ(電子版)は12日、「Putin ‘purges’ 150 FSB agents in response to Russia’s botched war with Ukraine」との記事を配信した。

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 見出しを直訳すれば、「ウクライナ侵攻で、ロシアはぶざまな敗北 プーチン大統領はFSBのエージェント(スパイ)150人を“粛清”」という意味になる。

 FSB(ロシア連邦保安庁)は、かつてのKGB(ソ連国家保安委員会)を前身に持つ。KGBはソ連崩壊で解散となったが、主に防諜と犯罪捜査を担当する部門がFSBに引き継がれた。

 日本のメディアもタイムズの報道を紹介した。主な電子版の記事を見出しだけご紹介しよう。配信日はいずれも4月13日だ。

◆ロシアFSBで150人追放 大統領府に虚偽情報…英報道(テレ朝NEWS)

◆「虚偽情報」の責任問われ、ロシア情報機関の職員150人追放…英紙「プーチン氏の怒りの兆候」(読売新聞オンライン)

◆プーチン大統領の怒りか、ロシア連邦保安局の情報員150人「追放」 スターリン的大粛清と英紙(日刊スポーツ)

 担当記者は「3社とも『ウクライナ侵攻が失敗したことから、プーチン大統領は“粛清”で怒りを表明した』というタイムズの分析を紹介しています」と言う。

「プーチン大統領側は、FSBでウクライナを担当している『第5局』が、侵攻前、『虚偽の情報』を大統領府に伝えていたことを問題視した、とされています。150人のエージェントは大半が解雇された上、一部は逮捕されたとタイムズの記事は伝えています」

虚偽報告の罪

 3月にはFSBの幹部が自宅軟禁に置かれたと報じられていた。日本経済新聞(電子版)は3月13日、「ロシア情報機関幹部を軟禁か プーチン氏『懲罰』と報道」との記事を配信している(註:記事の作成は共同通信)。

《プーチン大統領に侵攻前のウクライナ政治情勢を報告していた連邦保安局(FSB)の対外諜報部門トップらが自宅軟禁に置かれたと伝えた》

《FSBで外国の諜報活動を担う部門のトップ、セルゲイ・ベセダ氏らで、資金の悪用や不確かな情報を報告した疑いが掛けられている》

《ベセダ氏らはプーチン氏を怒らせないように聞きたいことばかりを報告していたが、侵攻開始から約2週間が経過し、プーチン氏が「誤り」に気付いたという》

 その後一部のメディアが、ベセタ氏の逮捕を報じた。各紙とも、それほどプーチン大統領は怒り狂っている──というニュアンスで伝えている。

 しかし、疑問がないわけではない。そもそもウラジーミル・プーチン大統領(69)は、大学卒業後、KGBの“スパイ”として16年間、勤務した経歴を持つ。

 1998年にはFSBの長官に就任し、“粛清”の対象となった第5局を設立。翌99年に首相となった。

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