プーチン、150人スパイ粛清で権力基盤は崩壊寸前 諜報機関トップの“合成動画”を敢えて流した狙い

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尻に火が付いた“皇帝”

「プーチン大統領にとっては、ウクライナ侵攻よりも、国内における権力闘争のほうが重要性を増してしまったのです。そこで一日も早く国内政治にシフトするため、ウクライナでの“戦果”を確定させようと焦っているのでしょう。例えばマリウポリを陥落させれば、大義名分が成り立つと判断しているかもしれません」(同・山田氏)

 ロシアは5月6日に戦勝記念日を迎える。第二次世界大戦での独ソ戦に勝利したことを祝い、国威発揚を行う大切な日だ。

「5月6日は『マリウポリ陥落など、東部における作戦行動は成功した』という発表で押しきり、後は国内問題に専念する可能性があります。諜報機関で徹底的に裏切り者をあぶり出し、更なる粛清を行うかもしれません」(同・山田氏)

 プーチン大統領は、いわば「尻に火が付いた」状態だ。ウクライナでの戦況は膠着状態になっても構わない。自分の政治エネルギーを粛清に集中させる必要がある、というわけだ。

「プーチン大統領に反旗を翻す可能性が、実名で報道されている側近もいます。ニコライ・パトルシェフ安全保障会議書記(70)は、プーチンの側近中の側近で、情報機関などからの話でウクライナをネオナチが支配しているとプーチンに伝えてきた張本人とされています。だが、今回の侵攻前のウクライナに関する誤情報で責められる可能性がある上、粛清で自分の部下が痛めつけられ、遂に堪忍袋の緒が切れた、というシナリオも考えられなくはありません」(同・山田氏)

注目を集める軍の動向

 同じように専門家の注目を集めているのは、ロシア軍の動向だ。

「例えば、ロシア国内でデモが激化し、警察などでは収拾がつかなくなったとします。もしプーチン大統領が軍に鎮圧を命じた場合、軍が『従えません』と抗命する、といった展開が起きるかどうかです」(同・山田氏)

 プーチン大統領は依然として強い権力を手中に収めている。反プーチン派は動けず、軍が従う可能性も否定できない。

 だが今回のウクライナ侵攻で、“皇帝”のメッキが剥がれ落ちてしまったのも、また事実のようだ。

デイリー新潮編集部

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