極道界が騒然 麻薬武器取引を企て米司法当局に逮捕されたヤクザ幹部「エビサワ」は何者か?

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 米司法当局は4月7日、麻薬の密輸や地対空ミサイルの購入を企てたとして、日本の「ヤクザ」幹部、エビサワ・タケシ容疑者(57)を逮捕したと発表した。ロケットランチャーを構え不敵な笑みを浮かべる“謎の男”はいったい何者か――。いま日本のヤクザたちは、この話題で持ちきりだという。

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摘発したのは世界最強の麻薬取締機関

 まずはスパイ映画を彷彿とさせる「アメリカの捜査機関vs麻薬シンジケート」の手に汗握るせめぎ合いを、裁判資料をもとに振り返ってみよう。

 日本の「ヤクザ」エビサワ・タケシ容疑者とタイ人の共犯者3人を捕まえたのは、アメリカの麻薬取締局、通称・DEA。メキシコの麻薬戦争などにも介入してきた、世界最強の麻薬取締機関である。12支部と237カ所の国内拠点に加え、58カ国に海外支部を展開。職員は1万人以上、予算規模は20億ドルにも及ぶ。

 DEAの捜査線上にエビサワ容疑者が上がってきたのは、2019年頃のことだった。エビサワ容疑者らはミャンマーの反政府勢力に渡すため、米国製の地対空ミサイルやAK-47などの自動小銃を反社会勢力から購入することを計画。対価として彼らが提示したのは、カネではなくヘロインやメタンフェタミンといった覚せい剤だった。実際に約2キロのサンプルを米国内に持ち込んでいた。

Yakuza Leader

 だが、彼らが交渉していた相手は、DEAの覆面捜査官と捜査協力者だったのである。協力者たちは起訴状の中で「CS-1」「CS-2」など匿名で表記されている。かつては麻薬密売に従事していたが、有償で捜査に協力している者たちだ。

 交渉は世界各地で行われた。ニューヨーク、バンコク、コペンハーゲン、そして東京。匿名性が高いことで知られる「Telegram(テレグラム)」や「Signal(シグナル)」などのSNSも利用し、武器を「竹」、ヘロインを「砂糖」、メタンフェタミンを「塩」などの符丁を使って呼んでいた。

 だが、その一つひとつのやりとりは、仕込まれた録画機や盗聴器で記録されていた。4月4日にエビサワらは逮捕され、裁判にかけられることに。起訴状にエビサワ容疑者は「Yakuza Leader」と記され、ロケットランチャーを肩に乗せ、カメラに向かって笑みをこぼす写真が掲載された。

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