ロシア軍の戦車は弱すぎで話にならない…なぜウクライナ軍のミサイルにやられまくったのか

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ニセモノが横行!?

 成形炸薬弾の防御策として代表的なのは「爆発反応装甲」だ。特に、この装備はロシアが研究熱心で、世界トップクラスのクオリティを誇っていた、はずだった。

「簡単に説明すれば、戦車の装甲にわざと爆薬を貼りつけるのです。爆発反応装甲の爆発で、成形炸薬弾の威力を減衰する設計です。アメリカ軍がテストしても、それなりの有効性が確認されました。ウクライ侵攻に使われたT-72やT-90も、本来なら爆発反応装甲を装備しているはずなのです。これがあれば、あんなに簡単にやられるはずはありません」(同・軍事ジャーナリスト)

 世界のメディアがウクライナ現地で撮影した写真や動画、ウクライナ国民がSNSに投稿した写真や動画をチェックすると、T-72やT-90は爆発反応装甲を装着している。

「フェイク動画かもしれませんが、爆発反応装甲の性能を疑ったのか、ウクライナ兵が中身を調べるという動画がネット上にアップされています。鹵獲したロシア製戦車に装着された爆発反応装甲をチェックすると、中身は爆薬ではなく、厚手のシートが畳んで詰め込まれていただけという結果でした。爆発反応装甲自体の性能は、ある程度なら証明されているので、戦費不足など何かの理由で配備が遅れたり、ニセモノが搭載されていたり、という可能性があります」(同・軍事ジャーナリスト)

ロシアの信用失墜

 他にも、「戦車の配備がおかしい」、「基本的な戦車の運用がされていない」など、ロシア軍の作戦に問題があり、戦車の被害を拡大させたという指摘もある。

 とはいえ、たとえロシア軍の作戦内容に問題があるとしても、もう「ロシア軍の戦車は高性能」と信じる軍事専門家はいなくなったようだ。

「ウクライナ侵攻がどのような結末を迎えるにせよ、ロシアの軍需産業が大打撃を受けるのは間違いないと見ています。ただ、T-72やT-90を購入して困っている国に、ポーランドやチェコといった旧東側諸国の軍需産業が『我々なら、ロシアのようないい加減な改良ではなく、しっかりとメンテナンスを行います』と売り込みをかける可能性はあります。既にセールスが始まっているかもしれません」(同・軍事ジャーナリスト)

 ウクライナもソ連時代に戦車工場を持ち、独立後も戦車の開発生産を続けてきた。T-84やT-72AGなどの戦車は輸出もしている。皮肉なことだが、ウクライナの軍需産業も、ロシア製戦車のメンテナンスは可能だという。

註:契約額はおよそ20億ドル インドがロシア戦車購(※原文ママ)T-90MSの購入へ(スプートニク日本版・2019年4月10日)

デイリー新潮編集部

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