迎撃は不可能…ロシア軍が極音速ミサイル「キンジャール」を使った深い意味

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 ロシアは核を使うつもりなのか──CNN(電子・日本語版)は3月23日、「ロシア大統領報道官、核使用を排除せず 『国家存立の脅威』に直面なら」との記事を配信した。

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 記事のタイトルに《CNN EXCLUSIVE》とあるのは、日本風に言えば“スクープ”という意味だ。

《ロシアのペスコフ大統領報道官は22日、CNNのインタビューに応じ、ロシアがウクライナでの軍事目標をまだ達成していなことを(引用註:原文ママ)認めた。また、国が「存立の脅威」に直面した場合に核兵器を使用する可能性を否定しなかった》

 当然、日本のメディアも反応した。ドミトリー・ペスコフ大統領補佐官(54)の発言を、朝日、読売、毎日などの新聞社、テレビ朝日やTBSなどのテレビ局、時事通信などの通信社が、いずれもCNNの報道を紹介する形で伝えた。

 担当記者は「ウクライナに侵攻したロシア軍は、頑強な抵抗に手を焼き、当初想定していた“電撃作戦”とは異なる戦況に直面していることが影響しています」と言う。

「アメリカ政府や軍事専門家は、ウクライナ軍が善戦したことによって、『ロシア軍はなりふり構わず、サリンなどの化学兵器を使う可能性がある』と警鐘を鳴らしてきました。ところが今回は、ロシアが自ら“核兵器による脅迫”を仕掛けてきたわけです。『ロシアは核を使う用意がある。ウクライナへの支援を止めろ』というメッセージになります。CNNが大きく報道したのは当然と言うべきでしょう」

小型核兵器を使用!?

 もしウラジーミル・プーチン大統領(69)が今回のウクライナ侵攻で核を使用するなら、どのような可能性が考えられるのか──こんな疑問に答えた記事は、既に配信されている。

 講談社が運営するネットメディア「クーリエ・ジャポン」は3月22日、

「それは“ハッタリ”ではないかもしれない プーチンが『核のボタン』を押すならば、いつどこが“標的“となるのか」

という記事を配信した。ただし、この記事はクーリエ・ジャポンの独自記事ではない。ワシントンポストの記事を翻訳したものだ。担当記者が言う。

「ワシントンポストの記事は、最近の核兵器は破壊力や放射能の影響をコントロールできるようになったと紹介し、だからこそプーチン大統領はウクライナで核を使用しやすくなっていると懸念しています。これは『小型核兵器』と呼ばれ、記事では《広島に投下された原爆の何分の一かの威力にとどめることができる》と説明されています」

 クーリエ・ジャポンの翻訳記事から、更に引用をさせていただこう。

《キエフのジュリャーヌィ空港の端に1キロトンの小型核爆弾を爆発させれば、プーチンはその火球や衝撃、放射線でこれまで以上の強いメッセージを送ることができるだろう。だがその爆発半径は滑走路の端までは届かず、被害を限定的にとどめることができる》

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