腸活に最適な「米のとぎ汁漬け」とは? 乳酸菌が免疫力アップに貢献

ドクター新潮 健康 食事

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胃腸の消化を促進

 残念ながら、江戸時代の庶民が米のとぎ汁で浅漬けを作っていたという文献は残っていない。だが戦前の山村部での記録は残っており、山菜などを採ってきては、大きなかめで漬けたものを、流し台の下に常備していたという。代々伝わる保存法であることは、想像に難くない。

 米のとぎ汁に、ミネラル分が豊富な天然塩を溶かし、そこにカットした野菜を漬けておく。これだけで、野菜の表面についた乳酸菌が、米のとぎ汁に含まれる糖質を餌に増殖し発酵、乳酸を作り出して腐敗菌を排除するため、長期保存が可能になる。

 しかも乳酸菌は、発酵によって食材の栄養分を、小さな分子に分解してくれる。

・タンパク質→アミノ酸

・脂肪→脂肪酸

・炭水化物→単糖

 というように。この働きが胃腸の消化を促進し、おいしく身体に優しい食品へと生まれ変わらせる。さらにビタミンや酵素など、人体の働きに欠かせない栄養素の量も増えるため、それらの栄養素の多くが、体内で免疫力を高めるべく活躍することになる。

植物性乳酸菌が生きたまま腸に

 免疫には、大きく三つの働きがある。

(1)新型コロナウイルスやインフルエンザ、風邪などの感染症を防ぎ、治す「感染の防衛」

(2)疲労や病気を防ぎ、回復させ、ストレスに強い体をつくる「健康の維持」

(3)新陳代謝を活発にし、細胞の若返りを促す「老化の予防」

 つまりは、健康長寿につながる働き=免疫ということだ。

 免疫力の7割は腸で決まるといわれている。なぜなら、腸を含む消化管は、口にした栄養も毒も全て飲み込んでから、体に必要なものを残し、不必要なものは排除するというシステムを備えているからだ。

 その選別を、腸と共に行っているのが白血球などの免疫細胞で、異物の排除のため、門番のように腸に集中している。よって、腸の働きを良くすれば、免疫細胞の動きも活発になり、病原体を殺し、病気の芽を摘み取る力がアップする。

「米のとぎ汁漬け」が免疫力を高めるのは、多くの植物性乳酸菌が、生きたまま腸に届けられるからだ。乳酸菌には腸内を酸性にし、外から侵入してきた病原体を攻撃したり、腸内の悪玉菌が異常に増えるのを防いだりする働きがある。

 また、乳酸菌の細胞壁には強力な免疫増強因子があり、これが腸で働く免疫細胞を刺激し、活性化させることもわかっている。

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