「自衛隊の名称を国防軍とするべき」 前統幕長、元陸幕長が語る憲法改正

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 中国の覇権主義的態度は日増しに強まり、北朝鮮は予測不能。「専守防衛」を旨とする日本は脅かされるばかりだが、昨秋の総選挙を受け、憲法改正の気運が高まったかに見える。では、肝心の自衛隊をどう活かすべきか。作家の早瀬利之氏が緊急レポートをお届けする。

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 このところ、我が国の周辺では看過できない事態が横行している。中国や北朝鮮の極超音速ミサイル発射実験、また中国船による尖閣諸島日本領海への侵入や中国が推し進める南沙諸島の軍事基地化、昨年10月には台湾の防空識別圏に中国軍機150機が侵入し、さらには中国とロシアの「連合艦隊」が日本列島を周航するなど、枚挙にいとまがない。巷では「津軽海峡、対馬海峡を封鎖せよ」といった声も聞こえるなど、穏やかならざる状況にある。

 もっとも、元陸上幕僚長の冨澤暉(ひかる)氏によれば、

「これらは日米豪仏の共同訓練に対抗したデモンストレーションであり、挑発などではありません。かつて大正時代にアメリカ海軍も同じような行動をとり、日本に上陸したことがあります」

 とのこと。また河野克俊・前統合幕僚長も、昨年10月28日号の本誌(「週刊新潮」)「中国は確実に『台湾に侵攻』する」の中で、海洋権益についてこう述べている。

〈世界第2位の経済大国となった中国が海洋進出を企図するのは自然なことで、理解もできる。問題は彼らの海洋に関する一方的かつ独善的な考え方だ。

 国際法では「海洋は自由」というのが基本的な理念だ。特定の国の領土や領空に他国が無断で侵入することは許されないが、領海では条件付きで認められている。中国の船が日本の領海を単に通航するだけなら、それが軍艦であっても「無害通航権」により許される。仮に核ミサイルを搭載した戦略原子力潜水艦であろうとも、浮上して国旗を掲げていれば「作戦行動中でない」と判断され、まったく問題はない〉

「3本の列島線」

 ただし、昨年9月10日に中国海軍潜水艦がミサイル駆逐艦1隻を伴い、奄美大島東部の接続水域を潜水したまま通航した件については、

〈いたずらに他国の危機意識をあおる「挑発的な行動」であり、少なくとも友好国に対してすべき行為ではない〉

 その中国は太平洋・東シナ海での海洋権益を確保すべく「3本の列島線」を引いたといい、

〈第1列島線は九州南部から沖縄本島、先島諸島、台湾、フィリピンを経てボルネオ島に至る南北のラインだ。中国はこの線の自国側を排他的な支配下に置くことを企図している〉

 ちなみに、第2列島線は伊豆諸島から小笠原諸島、グアム・サイパンを経てパプアニューギニアに達する。

〈冷戦下における世界的な安全保障の最前線は、米国を中心とする北大西洋条約機構(NATO)と、ソ連を中心としたワルシャワ条約機構とが対峙するラインだった。(中略)ところがいまや、「最前線」は第1列島線に取って代わった。中国が統一を目論む台湾と、挑発を繰り返す尖閣諸島の周辺こそが、世界で最もキナ臭い地域と化している〉

 河野氏は、そう警鐘を鳴らしているのだ。

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