任天堂・中興の祖「山内溥」 かつて「会社に必要なのはソフト体質の人間」と語った意味

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 2020年、新型コロナウイルスが世界中で大流行した最中、任天堂のソフトは輝きを増した。4月、緊急事態宣言が発出されたが、ゲーム専用機「ニンテンドースイッチ」のソフト「あつまれ どうぶつの森(あつ森)」が爆発的にヒットし、「あつ森」は流行語になった。3月下旬の発売から10日余りで1177万本を売り上げたのだ。(敬称略)

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 巣ごもり消費という追い風が吹いた。21年3月期の連結決算の売上高は1兆7589億円(前期比34.4%増)、営業利益は6406億円(同81.8%増)、純利益は4803億円(同85.7%増)。純利益は過去最高を記録した。

「あつ森」は同期だけで2085万本を販売し、累計販売本数は3263万本に達した。「ニンテンドースイッチ」の販売台数は同じく2883万台。17年3月の発売から丸4年で累計販売台数は8459万台となった。

 ゲーム市場は浮き沈みが激しい。22年3月期のゲーム機「ニンテンドースイッチ」の販売見通しを従来予想の2550万台から2400万台に引き下げた。半導体の不足の直撃を受け、発売5年目のスイッチは正念場だ。それでも、円安などが追い風となり、22年3月期の連結純利益の見通しを3500億円へと従来予想から100億円上方修正した。

 こういうご時勢だ。景気の良い話に人々は飢えているから、任天堂で憂さ晴らしになればと思い、敢えて取り上げることにした。

 2016年7月、ポケモンGOの配信が日本でも始まった。ポケモンGOは米ゲームベンチャーのナイアンティック社が、ゲーム企画会社のポケモン社と共同開発した。任天堂の子会社のポケモン社は、ポケットモンスターの権利保有者として、米ナイアンティック社からライセンス料を受け取る仕組みになっていた。

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