90歳でも「異性にモヤモヤッ」 周囲が明かす瀬戸内寂聴さんの逸話…生命力の秘訣とは

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「異性にモヤモヤッと」

 中村氏にはもう一つ、寂聴さんから、いつも促されたことがあるという。

「90歳近くになられてからのこと。“いまでも異性に対してモヤモヤッとすることがあるけど、それは生きる力そのものだと思わない?”と。“だからエロスは生命力だ”とおっしゃって憚(はばか)りません。ちなみに、62歳の僕はいま独り身ですが、今年に入ってから電話で、2日に1回ペースで話すなかで、“死ぬまでに、もう一人くらい彼女を作れ”と。僕が“そんな気力はないです”と返すと、“あなたからそういう色気をとったら、あなたではなくなる。死んだも同然だ”と戒められるんです。11月に入っての最後のやりとりでも、“彼女はまだできないのか”“なんで無理なんだ。そっちのほうも頑張れ”と言われたと記憶しています」

 18年1月、「週刊現代」の記事でも、

〈男性も女性も、エロス、色気の漂う人っていうのは、年齢を重ねてもやっぱり魅力的だわね〉

 と語っていた。少し年月を遡ると、「オール讀物」の05年9月号には、漫画家の弘兼憲史氏との対談のなかに、こんな言葉がある。

〈究極的には、恋愛って歳は関係ないと思うんですよ。そして、人生ってなぜ生きているかといったら、やっぱり恋愛するためじゃないでしょうか〉

 もっとも、恋愛の方法は若いころとは違う。07年1月、「別冊婦人公論」に、

〈なぜプラトニックがいいかというと、死ぬまでワクワクドキドキ、恋ができるから〉

 と記した。そうしてときめき続けたことが、長寿の秘訣であったことは、容易に想像できよう。ところで、いまの一節は、次のように続けられていた。

〈しかも相手に迷惑をかけない。私はいま84歳ですが、まだそういう恋ができるという自信があります〉

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