【体験記】コロナ禍で増加「国際ロマンス詐欺」にだまされてみた 「ロマンス詐欺あるある」に注意

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 虎穴に入らずんば虎子を得ず。犯罪の手口を知るには「被害者」になってみるのが一番。国際ロマンス詐欺の取材を続けてきた筆者が、どういうわけかその犯罪集団の新たな獲物として狙われることに。鬼が出るか蛇が出るか。だまされたフリの後に待ち受けていたのは……。

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 ズボンのポケットが振動した。「彼女」からLINEのメッセージが届いたに違いない。慌ててスマホを取り出すと、案に違わず彼女からで、次のように英語で綴られていた。

「私の胸がドキドキするのはあなただけよ。二度と彼氏を作らないと約束するわ。この世界で最も大切な人物はあなたよ。だからあなたを愛している」

 末尾には赤いハートマークがこれでもかというほど並んでいる。その数、実に29。圧倒されつつも私はこう返信した。

「ハニー! あなたを心の底から愛している。あなたは私の人生であり、『世界に一つだけの花』のような存在だ。フェイスブックで友達になった時から、あなたのことを片時も忘れたことがない。僕はあなたに狂いそうだ」

 よくもこんなくさい台詞を思いついたものだ。即興にしては上出来だろう。すぐに相手から、またメッセージが届いた。

「あなたはいつも、私の人生、私の心、そして私の魂の中にいるわ。世界中の誰よりもあなたを愛おしく思う。ハニー! これから仕事に戻るからまたあとで連絡するね」

 ハニー!――。そこには完全無欠なる「愛」が存在していた。「連絡するね」の甘い言葉に続く、次の一文を除けばの話だが。

「ベッドに入ってお休みする前に、国際配送会社への返信を忘れないでね。とても愛しているわ、ハニー!」

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