【体験記】コロナ禍で増加「国際ロマンス詐欺」にだまされてみた 「ロマンス詐欺あるある」に注意

国内 社会

  • ブックマーク

Advertisement

総司令官にメールを送るナゾの事態

 メッセージのやり取りを始めてから約10日後、ジェニファーの希望でやり取りの舞台はLINEへ移動した。ちょうど桜が満開の時期だったので、井の頭公園で撮影した写真を送った。相手は詐欺師とはいえ、感情を持った人間だ。その美しさに感激してくれるのかと思いきや、写真がいまいちだったのか、

「素敵だわ」

 と一言。反応の薄さにがっかりした。

 この頃からジェニファーは「日本に行きたいから総司令官に除隊の申請をしてほしい」と言い出し、総司令官のメールアドレスを送ってきた。上意下達の軍隊で、トップの個人情報を勝手に外部に漏らしていいはずがない。突っ込み所だ。が、はやる気持ちを抑え、ジェニファーの要望通り、私のアドレスから総司令官にメールを送ることになった。なんと、早くも彼女の婚約者として。それがジェニファーの指示だった。

 すると総司令官なる人物から返信が届き、申請を許可するにあたり、私の現住所、運転免許証、その他身分証明書を明示するよう要求してきた。

 相手はSNSを駆使する犯行グループだ。うかつに従えば、私の個人情報がSNS上で流用される可能性がある。そこでジェニファーに「一度電話で話をしたい」と切り出した。LINEでつながっているから、通話は可能なはずだ。と思って掛けてみたが、応答がない。間もなく、

「セキュリティー上の問題から基地では携帯電話の使用が禁じられている」

 とメッセージが届き、続けて駐留に際して定めた米軍規則が画像で送られてきた。確かに「基地における(外部との)通話は禁止」など9項目の規則が記載され、ご丁寧に少将の署名まである。「米軍の機密情報を管理」している割には、規則を外部に漏らすなど脇が甘すぎる。間違いなく偽造の規則だろう。それでも私は、ロマンス詐欺の輩たちとどうしても電話で直接話してみたかった。

次ページ:1億円超の現金を送りたいという提案

前へ 3 4 5 6 7 次へ

[5/9ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。