社内不倫していた繊細な夫 彼女と別れた今、「妻と愛人」へ不信感を抱いてしまう理由

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一回り年下の茉利奈さんと出会い…

 3年ほど前、潤さんが所属する部署に異動してきたのが、一回り年下の茉利奈さん。前は営業職で、「奈美絵さんに憧れていました」と頬を上気させて話してくれたことから、潤さんは「いい子だな」と率直に感じた。

「彼女は仕事のできる人だから、今のうちに社内のいろいろな部署を経験させておこうということじゃないかと僕は思っています。奈美絵は営業一筋ですけど、それは奈美絵がすごくエネルギッシュな人材だから。茉利奈ちゃんは、もうちょっといわゆる“女の子っぽい”感じでしたね」

 茉利奈ちゃん、という言い方にそこはかとなく愛情が漂う。指摘すると照れたものの、彼はずっとその言い方を貫いた。

 潤さんが仕事の説明をすると茉利奈さんはメモをとりながらきちんと聞く。だがふいに、必要以上に近づいてきたりするので潤さんは閉口した。茉利奈さんがまとっている香水が潤さんの心を惑わせるのだ。

「女性にクラクラしたのは彼女が初めてです。いい年したオヤジが何を考えているんだと自分で自分を戒めていたけど、そのうち顔を見るだけでクラクラきて」

男でいられるのはあと何年なんだろう

 初めて自分を見失う体験をしたと潤さんは言う。それでも家庭をもつ身、しかも妻は同じ会社なのだと必死で自分を抑え込んだ。そんなとき、学生時代の友人が離婚したと聞いた。

「会って飲んだんですが、この年で離婚するのは大変だと言いながら、なんだか楽しそうだった。実は他に好きな人ができて、それがバレての離婚だったそうです。彼には子どもがいなかったから、妻に愛想をつかされた形で離婚できたけど、うちだったらそうはいかないなあとつくづく思いました。でも彼の言葉は印象的でした。『男でいられるのはあと何年なんだろう。そう思ったら、人生の後半、本当に好きな女性と一緒にいたいと思ったんだよ』と。『恋がしたかったと思いながら死ぬのは嫌だった』とも」

 ちょうど“恋”を意識していた潤さんにとって、その友人の言葉はよほど心に突き刺さったようだ。家庭は大事、だけど最後の恋をするのも悪くないかもしれない。ふとそんな思いがよぎった。それでもまだ、理性で自分を抑え込むことはできていた。

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