「すれ違い不倫」で年上女性と33年間交際 還暦男が語る“2人の女性の存在”

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そして“久美さん”と出会う

 半年ほど寺で過ごし、彼はようやく仕事に復帰した。精神的にも少しずつ落ち着いていった。そんなとき再会したのが、姉の親友だった久美さんだ。

「ひとり暮らしの部屋には仏壇もなかったんですが、それでも4人の位牌を大事に置いて、朝晩水とお線香だけは上げていました。久美さんも東京で働いていたようで、いろいろ手を尽くして私の連絡先を知ったそうです。会うとすぐ『昔の面影があるわね』と言ってくれたけど、私はほとんど彼女のことは覚えていなくて」

 それでも姉や両親のことを知る久美さんと会うと、彼の心はなごんだ。家族4人と別れなければならなかった彼の言葉にできないつらさを、久美さんが吸い取ってくれるような気がしたという。

「気持ちがどうしようもなく落ち込むことがあって、そんなときは久美さんに会って話を聞いてもらいました。彼女がいないとどうにもならないこともあった。今もはっきり覚えています。私が27歳のとき。風邪をこじらせて熱が出て、週末寝込んでしまったんです。見えていたかのように久美さんが電話をくれ、駆けつけてくれました。そしてそのまま男女の関係になってしまったんです」

 彼の中で、久美さんへの強い気持ちを確認することができた。支えになっていただけでなく、彼は久美さんに恋をしていた。

 問題なのは彼女が結婚していたことだ。

「彼女は『あなたへの気持ちは特別だから』と言いました。どういう意味なのか私にはわからなかったけど、求めてもいいんだとそのときは解釈したんです。彼女は当時、結婚して4年ほどたっていましたが子どもはいませんでした」

 だが日が経つにつれ、真幸さんの中で夫のいる女性とつきあってもこの先、どうにもならないという思いが強くなっていく。夫に激しい嫉妬心も抱いた。自分の心を守らなければいけない。焦った彼は、久美さんとつきあいながら、会社の同僚であるゆかりさんと数回のデートで電撃婚をした。

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