「すれ違い不倫」で年上女性と33年間交際 還暦男が語る“2人の女性の存在”

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不幸は次々と…

 18歳のときには父を亡くした。うつ病で入院していた父が退院して1週間後のことだった。

「退院はしたけど、できるだけ様子を見ていてと母に言われていたんです。ちょうど冬休みで、私は受験勉強の追い込み時期。4歳年上の姉はそのころ、遠方の大学に通っていたので、うちには私しかいなくて……。父が寝ている部屋の隣で勉強していたんですが、気づくと2時間くらい経っていた。お父さんの様子を見なければと部屋をノックしたけど返事がない。開けようとしたらドアが開かない。思い切り体当たりしたらドアノブに紐をかけて首をくくった父がぐったりしていて。今でも思い出したくない光景です」

 父は享年60歳。今の真幸さんと同い年だ。当時としては遅い結婚で、母とは一回りの年の差があった。両親のなれそめを真幸さんは知らない。何度か聞いてみたが、両親ともに答えてくれなかったのだという。

 悲しみと悔しさを心の底に押し込めて、真幸さんは第一希望の東京の大学に合格し、上京した。アルバイトと奨学金でなんとかなると言ったのに、母は一生懸命働いて仕送りをしてくれた。就職が決まって母に報告に帰ると、母はげっそりと痩せていた。

「病院につれて行ったんですが、もう末期のがんで。どうしてこんなになるまで放っておいたのかと言われました。あちこち調子が悪かったんでしょうけど、母はがんばり通してしまったんです」

 若くして両親を亡くした彼に、今度は姉の訃報が舞い込んだ。姉は地方の大学を卒業後、そのままその土地で就職した。今度、結婚するから婚約者に会ってほしいと言われてから1週間後、事故で還らぬ人となってしまった。

「私が25歳のころでした。姉は30歳までに結婚したいと言っていたので『今度の彼とはうまくいきそう』という話を聞いて喜んでいたんです。どうしてこんなに早く、みんないなくなってしまうのか……。どちらかというと楽観的に生きてきたつもりだったんですが、さすがにそのときは心がポキッと折れました。祖母、両親、姉の顔が日々、浮かんできて私も早くそちらに行きたい。そんなことばかり考えていました」

 そんなとき、目をかけてくれていた職場の上司から「オレの知り合いのところに行ってこい。業務命令だ」と言われた。知り合いというのは上司の親戚で、お寺の住職をしていた。そこで真幸さんを預かってくれたのだ。あとから上司は「あのまま放っておけないと思った」と言ったそうだ。それほど真幸さんは疲弊していたのだろう。心身共に削り取られていく感覚があったと彼本人も話す。

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