「毛利元就」末裔のエリート外交官のDV疑惑 息子が外務省の“隠蔽工作”も告発

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隠蔽工作

 このメールの送り主である「僕」は、記された名前などから都内の名門私立高校に通う毛利氏の次男と判明している。看過できないのは、外務省の隠蔽工作にも告発が及ぶことだ。

 18年7月、セクハラ事件を起こした父親に次男は我慢ならず、警視庁高輪署に自らが受けた、先の文面にあるDVについて被害届を出す。ところが同年10月、

〈セクハラ事件に加えて児童虐待事件を起こしていたことが公になると、懲戒解雇になってしまうから、外務省の人事課長の有馬さんが被害届を取り下げるようにと母に言ってきました〉

 つまり、外務省が家庭内暴力の件を握り潰そうとした、という話。

〈僕は納得できませんでしたが、父が、このままだと首になって再就職も出来なくなって、生活が出来なくなると大騒ぎして、母に不安をあおってきて、母から「自分たちの為だ」と説得されたので、仕方なく従いました〉

 事情を知る関係者が補足して言う。

「毛利氏は停職期間中、実家のある山口県防府市で表面上“蟄居(ちっきょ)生活”をしていました。まぁ、蟄居といっても県内や近隣県を旅行したりして、息抜きはしていたようです。そこへ突然、息子さんが警視庁に被害届を出したと本省から知らされて大慌て。急いで上京したはいいものの、家族はまともに相手をしてくれる様子もありません。なので人事課長の有馬裕氏(現・総合外交政策局参事官)に頼みこみ、無理やり夫婦の話し合いの場に同席してもらったと聞きます。有馬氏も毛利氏とは同期で断り切れなかったようです」

 おかげで被害届は取り下げられるも、途端に毛利氏の態度は一変した。

〈2018年11月1日に僕が仕方なく被害届を取り下げると、父は掌を返し、家族に対する逆襲が始まりました。僕と母が父を裏切ったというのです。狂っているとしか思えません。父は、母に無断で、母のクレジットカードを止め、銀行のカードを解約し、十分な生活費も渡さず、貧困生活を強いて来ました〉

 まったく無茶苦茶なのである。血筋も身分も卑しからざるエリート外交官は、同僚の女性職員に手を出し、家庭内ではDVとモラハラに明け暮れ、ついには息子を父の職場への直訴に駆り立ててしまったワケだ。

 外務省は取材に対し、期限までに確たる回答はせず、毛利氏の妻に聞くと、消え入りそうな声で、

「お話しできることは……ありません」

 衝撃の告発文はこう結ぶ。

〈父は、家族を踏み台にして復職しました。父が社会的制裁を受けたことで、実質的な罰を受けたのは僕たち家族でした。しわ寄せはすべて家族に来て、痛みは家族がかぶりました。(中略)父には辞職という形でけじめを取ってもらうしかありません。(中略)父には外交官である前に、まず人として真っ当になってもらいたいです〉

 まだ高校生の息子にここまで言わせてしまうとは。しかし、父親の帰国で家族の安寧が破られるとしたら、これ以上の皮肉はあるまい。

週刊新潮 2021年9月9日号掲載

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