ダブル不倫がバレて四者会談の修羅場… そして続く“あり得ない日常”への恐怖

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 夫や妻が不倫をしても、日常生活は滞りなく進むことがよくある。家庭というのは習慣で成り立っているので、特に子どもがいる場合、夫婦は子どもの生活を優先する。自分たちの間に起こったことは先延ばししがちだ。【亀山早苗/フリーライター】

 着々と不倫を「深く静かに進めてきた」カップルがいる。橋本優大さん(43歳・仮名=以下同)と、小林玲香さん(40歳)だ。現在、平日はそれぞれの家庭で、週末はふたりで借りた隠れ家で暮らしている。そんなことが本当に成り立つのか、最初は半信半疑だったのだが、優大さんに会って話を聞き、「そういうこともあるのか」と感じるに至った。

 優大さんは180センチという長身でスリムな体型。今も友人とバスケットチームを作って活動しているスポーツ好きだ。東京郊外で生まれ育ち、今も地元に住んでいる。都内の大学を卒業し、第一希望ではなかったが中堅企業に就職した。そこで出会ったのが妻となった奈津子さん(46歳)だ。1年半ほどの交際を経て28歳のときに結婚、奈津子さんは退職し、ふたりの子を産み育てながらパートで仕事もしている。子どもたちは現在、13歳と10歳になった。

「6年前、父が亡くなって母はひとり暮らしになりました。それまで僕らは実家近くの賃貸マンションで暮らしていたんですが、母がひとりになったのを機に同居の話が持ち上がって……。僕には姉がふたりいます。本来なら娘と暮らすほうが母も気楽なんでしょうけど、ひとりは海外、ひとりは北海道と遠方にいる。そこで『あんたは長男なんだし』と姉たちに同居を迫られたんです。当時、母は70歳になったばかりで元気だったので、奈津子は『今さら同居してもうまくいかないと思う』と抵抗していました。その気持ちもわかるので、僕としては強くも言えなかった。でもある日、母が風邪をひいて高熱を出していたのに気づかず、こじらせて入院することになったんです。やはり同居するしかないと妻を説得、家をリフォームして同居しました」

 優大さんから見れば、決して気難しくはない母だが、嫁である奈津子さんから見れば「赤の他人」である。同居にあたっては、「どんなときも奈津子の味方をするから」と妻に約束した。

「母にも、この家の主婦は奈津子なんだから、譲ってやってほしいと頼んでおきました。でもいざ同居が始まってみると、いろいろありました。女同士ってなんであんなに縄張り争いするんでしょうね。あ、女性一般の話ではなく、うちに限ってですけど」

 優大さん、なかなか気遣いのできる男性である。母と妻の間に立って苦労してきたのだろうと推察できる。

「半年ほどで再度リフォーム。僕らが生活している2階にもキッチンを作り、食卓は分けることにしました。ただ、子どもたちは母のところで食べることもありますし、そのあたりは柔軟にしようと取り決めして。これで日常的な不快感はふたりとも軽減されたようです」

 リフォーム代の多くを母に出してもらったこともあり、優大さんは妻の味方をすると言いながら、母に強くは言えなかった。だから食事の件が解決しただけでもホッとしたという。

「妻も自分が家にいて姑と顔を合わせる頻度が高くなると、気に入らないことが増えると実感したようで、パートの時間を増やしたりしていました。母も友人と出かけたりする回数が増えて。それでもたびたび、妻からは『お義母さんは洗濯物を外に干せっていうけど、私は乾燥機のほうがいいの。あなたから言って』とか、『子どもたちに甘いものばかり食べさせて困る』とかありましたね。些細なことだけど毎日積み重なると、僕もだんだんストレスを感じるようになっていきました」

 大きな問題ではない。ささやかなことだからこそ、少しずつストレスがたまっていく。気づいたときには思わぬ方向へ自分がいってしまったと優大さんは言う。

いきつけのバーがきっかけで…

 優大さんが会社帰りにときどき寄るバーがあった。年配のバーテンダーがいるカウンターだけの静かなバーだ。同じ時間に止まり木にいる人と、ぽつりぽつりと話すことはあっても、基本的にはひとりで静かに飲んで静かに去っていく客ばかり。

「ある日、そこにいたのが玲香です。世間話を交わし、彼女はすぐに帰っていきました。僕も1杯で立ち上がって外に出た。駅まで歩いていくと彼女が酔っ払いに絡まれているのが見えました」

 思わず駆け寄って酔っ払いを追い払った。彼女は「ありがとうございました。もう、しつこいったらなくて困っていたの」と彼を見上げ、「あら、さっきの」と声を弾ませた。

「そこで改めて名刺を交換しました。彼女はうちの会社のすぐ近くに勤務していて。帰りも同じ沿線だったので話しながら帰りました。うちと子どもの年齢がまったく一緒で、少なからぬ縁を感じたんです」

 それから週に2回ほどバーで会うようになった。あるとき彼が食事に誘った。彼女は「うちは夫が定時で帰って食事の支度をしてくれるので」と、すぐに承諾してくれた。大人の男と女がこうやって会う算段をするのは、すでに心惹かれあっているからだ。それを前面に出さずにふたりの間で暗黙の了解が進んでいく過程で、恋は本物になっていく。

「2ヶ月もたたないうちに男女の関係になりました。思えば妻とはずっとそんな関係もなかった。玲香は非常に巧みで、なんていうのか、床上手というのか」

 優大さんの耳が赤く染まっていく。恥ずかしいけどのろけたい、のろけたいけど恥ずかしい。そんな心境なのだろう。

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