『ゴジラVSコング』 やっと始まる地上最強怪獣決定戦、勝つのはどっちだ?

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7月2日公開『ゴジラVSコング』(★★★星3つ)

『GODZILLA ゴジラ』(2014)『キングコング:髑髏島の巨神』(2017)『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)―――東宝怪獣映画とキングコングの世界がクロスオーバーする“夢の競演″モンスターバース・シリーズ。その第4作となる『ゴジラVSコング』ではついにゴジラとキングコングという日米2大怪獣が激突。怪獣世界一が決定する。コロナ禍によって日本での公開は伸び、ようやくゴングが鳴った次第だ。

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)で死闘の末、ゴジラがキングギドラに勝利してから5年――未確認生物特務機関モナークは、髑髏島(スカルアイランド)でキングコングを飼育しながら、そのルーツを調査研究していた。そんな中、前触れもなく深海の暗闇から姿を現したゴジラが人類を襲撃し、世界をまた破滅の危機へ陥れる。

 ゴジラの猛威に対抗するため、アメリカ海軍に護送される大型輸送船でコングは、島から運び出される。人類はコングとゴジラを対決させるという、危険な賭けに出たのだ。果たして、勝つのはどっちだ?

 本作の監督アダム・ウィンガードは、その勝敗の行方をめぐって少年時代、親友と絶交しかねない深刻な状況に陥ったという。

《僕は『昭和ゴジラ』シリーズが大好きで、もちろん『キングコングVSゴジラ』も大好きだ。今もよく覚えているのが、小学校二年生の時、仲間内で『ゴジラとキングコングが戦ったら、どっちが勝つか?』で大論争になったこと。そのとき、僕は親友と意見が対立し、ガチの大げんかになったんだ(笑)》『キネマ旬報』5月上・下旬合併号より

 アダム少年を熱狂させた1962年の『キングコングVSゴジラ』は、ゴジラ映画のみならず、日本の怪獣映画のフォーマット、怪獣バトルを最大の見せ場にするというスタイルを作ったと言われている。

62年の『キングコングVSゴジラ』

 その内容は“世界の驚異”“巨大なる魔神”キングコングを撮影するために、赤道直下の孤島・ファロ島に向かう。その探検隊にTV局のカメラマンとして参加したのが、主人公の桜井修だ。高島忠夫演じるこの男のセリフが、C調というか、とぼけているというか、しまらないというか……未曽有の事態に直面しているという緊張感に、まるで欠けているのだ。

 ドラムを叩きながら笑顔での、初登場場面からしてこんな調子だ。

「この活力!このスタミナ!精力の源、パシフィック製薬のパッシンをどうぞ!」

 さらに……ファロ島探検を「聴視率回復の決定打だ!」と息巻く宣伝部長を、「空振り三振、ってこともありますよ」とまぜっ返す。「(部屋に入る時は)ノックぐらいするものよ!」と、つんけんする妹・ふみ子(浜美枝)に「ノックもトス・バッティングもあるかい!」

 そんな呑気な主人公は文字通り、ヘリコプターという外野、高みからバトルを観戦することになる。さてコングとゴジラ、最強の座を巡る戦いのスタイルは、というと……。

 ジャイアント・スウィング、浴びせ倒し蹴り、ベア・ナックル(こぶし)での殴り合い……怪獣に世界王者を決する、熾烈なサバイバルといった凄みは感じられない。観客の目を意識しながらの大らかなプロレス、といった趣なのだ。ちなみに勝負は両者リングアウト(通称:両リン)という、モヤモヤした決着を迎える……。

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