少子化でも来年の4年制大学は定員2975人増?「人気のない大学は潰れる」は大間違い

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倒産続出は嘘

 文部科学省は4月、来春の新設を目指して許可申請が行われた大学の学部・学科を公表した。これに昨年10月までに申請された大学の新設を加え、旺文社教育情報センターが集計を行った結果、来年の大学入学定員は2975人増える可能性があるという。

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 同社の公式サイトには、「2022年 新設予定の大学・学部・学科情報[認可申請状況]」が掲載されている。

 日本では依然として少子高齢化が進行中だ。加えてコロナ禍も大きな影響を与えている。受験生の数は減ることはあっても、増えることはない。にもかかわらず、大学の定員を増やすというのだ。

 もし文科省が2975人の定員増を許可すれば、日本の大学はますます“広き門”となってしまう。本当に“大学全入時代”がやって来た──こんな思いを抱く向きもあるだろう。

 民主党政権だった2012年、当時は文科相だった田中眞紀子氏(77)は突然、3大学の新設について認可を行わないと発表して大騒動となった。最終的には撤回されたが、対象となったのは秋田公立美術大学、札幌保健医療大学、岡崎女子大学の3校だった。

 田中氏は不認可の理由を「大学が多すぎて質が低下している」と説明した。当時は大論争となったが、今でも賛意を示す有権者は一定数存在するだろう。

 では、今回の申請を具体的に見てみる。まず大学の新設申請からご紹介しよう。全部で4校ある。

【統合】
◆大阪市立大学と大阪府立大学が統合し、大阪公立大学(大阪府)

【短大の廃校】
◆川崎市立看護短期大学を廃校とし、川崎市立看護大学(神奈川県)
◆大阪信愛女学院短期大学を廃校とし、大阪信愛学院大学(大阪府)

【新設】
◆令和健康科学大学(福岡県)

多い看護学部

 この4大学だが、いずれも看護学部が設置予定という共通点がある。次にご紹介する学部の新設でも、その傾向は変わらない。

 申請された6校8学部の内訳は、観光学部、児童教育学部、薬学部、看護学部、リハビリテーション学部、医療福祉学部、医療科学部が2つと、医療系学部が多数を占める。

 兵庫医科大学(兵庫県)は廃校となる兵庫医療大学(同)の学部を吸収したことによる新設なので割愛させていただく。残る5大学の新設5学部は次の通りだ。

◆日本医療大学(北海道)医療福祉学部を新設
◆東海大学(神奈川県)児童教育学部を新設
◆金城学院(愛知県)看護学部を新設
◆國學院大学(神奈川県)観光学部を新設[文学部・日本文学科の定員減]
◆名古屋女子大学(愛知県)医療科学部を新設[文学部・児童教育学科、児童教育専攻、幼児保育学専攻の定員減]

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