堀江貴文が悟った“生き残る大人”の共通点

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けっきょく、これからどうやって生きていく? 堀江貴文、小沢一敬、燃え殻が語る、後半戦の人生の話。今の時代を生き抜くための、“枠組み”を柔軟に捉える思考とは。〈堀江貴文×小沢一敬×燃え殻 ボクたちはみんな大人になれなかった座談会 第6回〉

失敗と成功を乗り越えて「今日を生きる」

堀江 この間『まんがでわかるサピエンス全史の読み方』という本の巻末対談を山形浩生さんとやったのね。で、結局なんでホモ・サピエンスが他のホモ属に比べて繁栄できたかっていうと、フィクションを作る力があったからなんですよ。国家だったり、貨幣だったり。結婚とか家族も一種のフィクションなんですよ。

小沢 超面白い、その話。

堀江 我々はフィクションなしで生きられないんだけど、その枠組みを柔軟に考える人たちがこれからは楽になっていくと思う。いわゆる小沢くんが呪いって言ってるのは、今の時代の尺度に合わないフィクションのことを、そう言い換えているんだと思うんだけど。

小沢 俺の通訳、ありがとね。

燃え殻 小沢さんの芸術的な表現を、堀江さんが言い換えるという流れができました(笑)。結婚も家族も、ダイナミックに再構成して新しいフィクションを作っていけたら、幸せの度合い36パーセントが変わってくるかもしれないですね。

小沢 でも、自分が幸せかどうかとか、考えたことないなあ。相方の(井戸田)潤が「世界ウルルン滞在記」っていう番組でバリの離島に行ったとき、そこがすっごく長閑(のどか)な場所だったの。それで潤が「暇だわ」って言ったら、通訳の人が「暇ってなんですか」って言うんだって。現地の人にとってはその状態が普通だから、暇という概念がないのよ。それと一緒だなと思って。幸せって何、って考えている人はもう不幸なの。

堀江 比較する情報と、選択肢があるかないかの差だよね。僕もさ、幼稚園の頃とか、暇だなと思ってたんだよね。

燃え殻 え、幼稚園のとき?

堀江 そう、子どもながらにテレビ観ると、自分より楽しそうで忙しそうな人が映ってるわけじゃない? それで自分の人生にも、もっと刺激があっていいんじゃないかって思ってたんだよね。概念って情報の中の比較から生まれるんだよね。

小沢 幼稚園でそんなこと考えてたの? もうこの座談会、「ボクたちはあの頃から大人だった」に変えなきゃダメじゃん。

堀江 だから僕、教育論とか聞かれることすごく多いんだけど、「もう子どもなんてスマホ渡しときゃいいじゃん」っていつも言うわけ。

小沢 こうやってこの人は嫌われていくんですよ。

燃え殻 いま、すっごい色々省きましたよね(笑)。

堀江 だってスマホは世界につながってるでしょ?

小沢 それ省くから誤解を生むんだよ。

堀江 だって前も同じ話をしたから、検索すればいいじゃんって思うんだよね。

小沢 だから、そういうとこだよ。

堀江 本音でしか話さないから(笑)。でも僕は、けっきょく大人って最後まで粘れる人のことだと思いますよ。天才はいくらでもいるけど、必ずしも成功するわけじゃない。だけど諦めずに最後まで粘った奴が、最終的に生き残るわけだから。失敗も成功も、粘りで自分のものにできる人が大人だと思う。

燃え殻 それはそうですね。

小沢 粘り、俺は全然ない。

堀江 粘ってるよ。やりたいことずっと続けてるのが、粘りなんだよ。

小沢 この業界ってよく、「若いころ苦労したでしょう?」とか言われるんだけど、俺ら漫才やりたくてやってるから、苦労って思ったことないんだよ。むしろ俺は「いつかやってみたい」とか「これ乗り越えたらいいことが待ってる」とか言う人に会うと、この人は自分が死ぬこと知らないのかなって思っちゃうんだよね。いつか絶対に死ぬのに、なんで目の前にあるやりたいこと、やるべきことを蔑ろにできるのって。だから俺は、先延ばしにしない人が大人だと思う。

堀江 僕、今日を生きてますよ、いつも。

小沢 自分が有限だって知ってると先延ばしにできないし、やりたいことやってると、食えない時代も俺なんでこんな苦労してるんだとか思わなかったでしょ?

堀江 いや、僕に食えない時代はなかったけどね。

小沢 そんなこと言うから、大人になれなかったって言われるんでしょ(笑)。

「ボクたちはみんな大人になれなかった」座談会
July 2017

デイリー新潮編集部

2017年8月4日掲載

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