松戸事件「リンちゃん」の両親がベトナム料理店をオープン こだわりは「バインミー」

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 4月10日、4年前に殺害されたベトナム国籍のレェ・ティ・ニャット・リンちゃん(当時9歳)の両親が、千葉県松戸市内でベトナム料理店「ハーグェン・ベトショップ」を開店した。早速、訪ねてみた。

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 2017年3月24日、リンちゃんは自宅を出た後行方不明となり、2日後、同県我孫子市北新田の排水路脇の草むらで絞殺体で発見された。彼女が通っていた小学校の元保護者会長、渋谷恭正被告が逮捕され、千葉地方検察庁は殺人、強制わいせつ致死などの罪で起訴した。

 2018年7月、千葉地裁は無期懲役。2021年3月、東京高裁も無期懲役(求刑は死刑)を言い渡した。渋谷被告は最高裁に上告中だ。

「犯人に極刑(死刑)を求める署名を集めました。世界で135万筆、日本だけで25万筆集まりました。日本で起こった過去の事件を色々と調べたのですが、この国の法律では、ひとり殺しただけでは死刑にならないんですね」

 と語るのは、リンさんの父親のレェ・アイン・ハオさん(38)。

 ベトナムは、中国やイランと並ぶ死刑大国。年間150人ほどが死刑になるという。

ベトナム文化を紹介

 妻を残し単身、来日したのは2007年。ハオさんはベトナムの首都ハノイ出身で、大学卒業後、ベトナムのIT企業に勤務していた。

「日本で働きたいベトナム人は少なくありません。私自身は、日本のIT企業に勤務し、いずれ独立を考えていました」

 ハオさんが来日して2カ月後にリンちゃんが生まれ、2年後、2人を日本に呼び寄せた。

「4年程前から、IT企業の設立とベトナム料理店の開店を計画していたんです。ところが、リンの事件で計画が全て頓挫してしまったのです。私は憔悴して、しばらくベトナムに帰っていました」

 ようやく昨年11月、松戸市でソフトウェア会社「日越技術合同会社」を設立した。

「ホームページの作成やサーバーなどをシステム構築する会社です。ソフトウェアだけでなく、ベトナム文化も日本に紹介しようと思い、ベトナム料理店を開業することにしたんです」

 それが今回オープンした「ハーグェン・ベトショップ」である。座席数は1階と2階を合わせ45席。店内にはベトナムの編み笠が飾られ、ベトナムの調味料や乾麺、ココナツなどの果物、生春巻きの皮なども販売している。

「私は、平日はソフトウェア会社に勤務しているので、店に出ることができません。そこでベトナム人の友人と共同で経営することにしました。店にはコックが3人、スタッフは妻も含め計5人います」

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