事件現場清掃人は見た 孤独死した70代男性の“秘密”を淡々と語る娘に覚えた違和感

国内 社会 2021年3月26日掲載

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 自殺や孤独死などで遺体が長期間放置された部屋は、死者の痕跡が残り、悲惨な状態になる。それを原状回復させるのが、一般に特殊清掃人と呼ばれる人たちだ。2002年からこの仕事に従事し、昨年『事件現場清掃人 死と生を看取る者』(飛鳥新社)を出版した高江洲(たかえす)敦氏に、娘と同居していたのに亡くなって2週間してから発見された男性について聞いた。

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 特殊清掃の現場では、他人にはまず知られることのない故人の性癖を知ってしまうことがよくある。独身男性の場合は、部屋に成人向けの本やDVDが残されることは珍しくないという。ところが今回は……。

「60代の女性の依頼でした。70代の従兄と連絡がつかないから警察に通報したところ、自宅で遺体が発見されたといいます。病死してから2週間経っていたそうです」

 と語るのは、高江洲氏。

 早速、東京郊外にある男性の自宅へ向かった。

「畑と水路に囲まれた一軒家でした。驚いたことに、40代後半の男性の娘さんが同じ家に住んでいました。同居していたのに、なぜか2週間も気がつかなかったというのです」

 不審に思った高江洲氏は、娘に事情を聞いてみた。

「彼女は父親とは仲が悪く、一つ屋根の下でも別々の生活を送っていたといいます。娘さんは会社勤めで、父親は以前、運送業を営んでいました。2人が顔を合わせるとすれば、リビングかトイレかお風呂場でしょうが、とにかく父親と顔を合わせない生活を送っていたそうです。本来なら、娘さんが私に依頼してもおかしくないのでしょうが、父親にはあまり関心がないように見えました」

娘の部屋に強烈な悪臭

 それにしても、2週間も父親の遺体が放置されれば、家中に死臭が漂うはずだ。

「娘さんの部屋には、飼い犬の糞があちこちに転がっていて、ゴミも散乱していました。部屋には強烈な悪臭がこもっていました。これでは、父親の遺体に気づかなかったのも無理ありません」

 高江洲氏は、娘立ち合いの下、遺体が発見された部屋を確認した。

「1階の奥の和室に敷かれた、蒲団の上で亡くなっていたそうです。蒲団には、人の形と同じ黒い染みがあり、体液は畳や床下まで達していました」

 特に、目についたのは、蒲団の周辺には、成人雑誌やDVDが散乱していたことだ。

「10数年前に妻と死別したとのことでした。本やDVDで寂しさを紛らわせていたのでしょう。ただ、本などに混ざって、なぜか女性の下着も何枚かありました」

 すると、訝しがる高江洲氏を見て、娘がこう言った。

「ああ、発見されたときは、女物のパンツを穿いていたみたいですよ」

 高江洲氏は、

「彼女は、父親が亡くなっても、ショックを受けた様子はありませんでした。いくら不仲でも、とにかく違和感を覚えましたね」

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