事件現場清掃人は見た 息子の死臭が漂う部屋で母親がとった行動に涙が出た理由

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食事に誘われて

 結局、遺体が発見された部屋はリフォームすることになったという。

「今の私なら、完全に除菌、消臭する薬剤を持っているので、部分的な工事だけで臭いを消すことができます。でも当時は、臭いを完全に消すなんて無理だと思っていました」

 大家が引き上げた後、

「母親から『今日はすっかりお世話になったので、食事でもいかがですか』と誘っていただきました。ありがたいのですが、『こんな格好ですから、今日は失礼させていただきます』とお断りしました。それでも私の手をつかんで、『大丈夫ですよ』と言われてしまい……」

 結局、ご主人も呼び出し、着替えをして3人で食事をすることになった。

「両親から、亡くなった息子さんの話を聞きました。息子さんは外国の女性と一緒に、その部屋で暮らしていたそうです。結婚はしておらず、内縁関係だったということです。ところが、ある日、女性が目覚めると、隣に寝ていた息子さんが亡くなっていたといいます。女性はパニックを起こし、遺体をそのままにして行方をくらました。彼女はオ-バーステイの状態でした。不法滞在が警察に知られるのを恐れたのでしょう」

 同居していた女性が日本人だったならば……。

「私は、ご両親にもっと何かしてあげられるのではないか、と思いました。何もしてあげることができない自分の力不足を実感し、事件現場の清掃を本格的に研究するようになったんです」

週刊新潮WEB取材班

2021年1月19日掲載

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