蚊帳の外から文在寅が菅首相に揉み手 バイデン登場で“不実外交”のツケを払うはめに

鈴置高史 半島を読む 国際 韓国・北朝鮮 2020年11月17日掲載

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 日本を罵倒し続けてきた文在寅(ムン・ジェイン)大統領。突然、菅義偉首相に向かって愛想笑いした。下心を韓国観察者の鈴置高史氏が探る。

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「お目にかかれてうれしい」

鈴置:韓国外交が異様です。11月14日、ASEAN(東南アジア諸国連合)と日中韓の首脳がテレビ会議を開きました。

 文在寅大統領が冒頭発言で「尊敬する議長閣下、各国首脳の皆さま、特に日本の菅総理閣下、お目にかかれてうれしいです」と語ったのです。

 朝鮮日報は「文大統領、『特に菅総理閣下、お目にかかれてうれしいです』」(11月14日、韓国語版)でこう、驚きました。

・多者首脳外交の舞台で初めて同席した菅義偉日本総理の名前に特別に言及したのだ。多者首脳外交の舞台で特定の国家首脳に向け挨拶するのは一般的ではない。
・一部で、安倍晋三前総理の時に悪化した韓日関係を改善するための「ポーズ」との解説がささやかれるのもそのためだ。

――突然にすり寄って来るとは、気持ちが悪いですね。

鈴置:それが多くの日本人の率直な反応だと思います。文在寅氏はもちろん、李明博(イ・ミョンバク)氏、朴槿恵(パク・クネ)氏と、この10年間というもの、韓国の大統領はことあるごとに日本を公開の席で貶めてきましたから。

「日中韓」に出て欲しい

――なぜ、突然に変身したのですか?

鈴置:韓国が今年中に開く予定の日中韓首脳会談に、菅首相に参加して欲しいからでしょう。「国際法違反の『いわゆる徴用工』判決を韓国政府が放置し、日本企業の資産を接収したままなら、菅首相は訪韓しない」と日本政府がメディアにリークしたのが効いたのです。

 今や、韓国は朝鮮半島を巡る国家間の駆け引きで完全に蚊帳の外。韓国が主催する日中韓首脳会談まで開けないとなると、外交的孤立があからさまになってしまいます。

 11月10日に菅首相を表敬訪問した国家情報院の朴智元(パク・チウォン)院長は翌11日、日中韓首脳会談に関し「良い方向に進むだろう」と語りました。

 自身の訪日の目的が菅訪韓の地ならしであることを認めたのです。発言は中央日報の「韓国国情院長『年内ソウル開催の韓日中首脳会談、良い方向に進むはず』」(11月12日、日本語版)で読めます。

 11月13日にも韓日議員連盟の議員が菅首相を表敬しました。同連盟幹事長の金碩基(キム・ソッキ)議員は翌14日に「今回の訪日で菅首相が韓中日首脳会談に参加する可能性が増したと評価するか」と聞かれ「少しは寄与しうると思う」と答えています。

 もっとも、この発言を報じた朝鮮日報は「『早急な韓日首脳会談』提案に菅『分かった』…肯定的な反応でなかった模様」(11月14日、韓国語版)の見出しで、韓国議員の「手柄」を疑問視して見せました。菅首相の「分かった」との発言は訪韓に慎重な姿勢を打ち出したもの、と日本メディアが解釈したからです。

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