無観客では何の価値もない…選手村村長「川淵三郎氏」が語る東京オリンピック

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無観客のオリンピックに価値はない

小林 観客についてはどう考えておられますか?

川淵 僕はね、無観客でもオリンピックはやった方がいいとは絶対思わない。無観客ならやめた方がいい。無観客でオリンピックやって、どういう意味があると思っているんだろう?

 テレビで見られるからいいかと言ったら、そんなことは絶対ない。観客席の人の持つエネルギーや伝播力、そういうものの大きさを考えると、観客があって初めて選手があるんだよね。

 選手があって、観客があって、オリンピックが成り立つ。

 選手だけでどこかでやればいいって、そういう問題じゃない。観客がいることによって選手が高揚して、普段ではなかなか出ないような実力が発揮できる。見る側の反応も、普段は経験できないような興奮と感動、あるいは落胆もあるかもしれない。それは世界一の昂奮であり、感動であり、悲しみだろう。だからどんなことがあっても、どんなに縮小しても観客のいないオリンピックなど値打ちがない。何の価値もない。観客がいて初めて競技は成り立つんだ。とくにオリンピックはね。

小林信也(こばやし・のぶや)
1956年新潟県長岡市生まれ。高校まで野球部で投手。慶應大学法学部卒。「ナンバー」編集部等を経て独立。『長島茂雄 夢をかなえたホームラン』『高校野球が危ない!』など著書多数。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年10月21日掲載

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