日本への毒針? 原潜保有を宣言した文在寅政権 将来は「核武装中立」で米韓同盟破棄

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 韓国が核武装に突き進む。しかも、それを隠そうともしない。韓国観察者の鈴置高史氏が展開を読む。

「弾道弾の縛り」撤廃を画策

鈴置:韓国が核武装をいつでも宣言できる体制を着々と整えています。厳密に言いますと、核弾頭の運搬手段を急速に整備しています。

 核弾頭そのものは韓国の技術をもってすれば、いつでも――開発を決意して半年後には完成すると専門家は見ます。肝心なのは運搬手段です。この確保には時間がかかるのです。

 6月23日、韓国軍は射程800キロの地対地弾道弾の試射に成功。文在寅(ムン・ジェイン)大統領も観覧しました。聯合ニュースの「韓国軍が試射の弾道ミサイルは中距離級 北朝鮮全域が射程圏」(6月23日、日本語版)などが報じています。

 韓国は弾道ミサイルの射程距離に関し、米韓ミサイル指針によって米国から歯止めをかけられています。韓国の要求で何度も改定し、2012年に射程を最大800キロに伸ばし、2017年には弾頭重量の制限を撤廃しました。

 今回の試射成功は米国の「縛り」の上限まで能力を拡大したものです。韓国の南部から発射しても北朝鮮全域をカバーできます。

 ところが韓国政府は射程をさらに伸ばすことを検討中です。7月28日、青瓦台(韓国大統領府)の金鉉宗(キム・ヒョンジョン)国家安保室第2次長が会見で「射程距離を制限する問題は遠からず、時が来れば(in due time)解決する」と述べています。

 中央日報の「韓国、長距離ロケット開発…『固体燃料の鎖』外した」(7月29日、日本語版)で読めます。

 軍事専門家の間では「韓国は射程距離800キロ以上の弾道弾をすでに保有している」と見る向きが多い。その現実をテコに、米国に縛りの完全撤廃を求める作戦と思われます。

東京を射程、固体燃料の歯止めも消滅

――さらに射程を伸ばす目的は?

鈴置:もちろん日本と中国の首都を射程に収め、牽制するためです。公式発表の射程800キロを1・5倍の1200キロに伸ばすだけで、東京も北京も弾道弾で狙えます。

 韓国が北朝鮮全域を射程に収める弾道弾の試射に成功しても、北は強く反発しませんでした。文在寅政権のミサイル能力の強化が自分に向けられたものではないことを知っているからです。

 実は、7月28日の金鉉宗・第2次長の会見は「米国とのミサイル指針の改定に成功し、固体燃料の開発・保有の制限がなくなった」と発表するのが主目的でした。

 青瓦台の「韓米ミサイル指針改定関連 金鉉宗・国家安保室第2次長ブリーフ」(7月28日、韓国語)によると、金鉉宗・第2次長は「製作費が安い固体燃料のロケットを使った偵察衛星の打ち上げが可能になる」と述べ、宇宙開発に資すると強調しました。

 が、これはまやかし。最大の利点は「固体燃料を使った大型の弾道弾を持てるようになったこと」にあります。液体燃料式のロケットや弾道弾は発射直前に燃料を注入する必要があります。長時間、燃料を入れておくとタンクが腐食するからです。

 このため軍事用の弾道弾はいつでも発射できる固体式の方が格段に有利です。ことに潜水艦から発射する弾道弾(SLBM)は固体燃料が普通です。閉鎖的な潜水艦内に、引火しやすい液体燃料を持ち込むのは好ましくないからです。

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