コロナ過剰対策による「認知症パンデミック」の実態 医師が証言

ライフ 週刊新潮 2020年8月27日号掲載

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認知症パンデミック

「危ないのは75歳以上の、いままで活発に出かけていた男性です。女性は家にいても家事をし、買い物に行き、出先や電話で喋る機会もあるようです。一方、男性は外出を控え、家でワイドショーを見て怖くなって、さらに出られなくなる、という悪循環に陥っている人が多い。精力的に出かけていた人が急に閉じこもると、身体的、精神的に影響は大きい。散歩すらしないと一気に体力が衰え、認知症リスクも高くなる。認知症予防には社会的活動が不可欠で、このままでは“認知症パンデミック”と呼ぶべき状況になってしまいます」

 4%に異変が見られるなら、パンデミックはすでに起きている、と言うこともできよう。そして、だからこそ帰省が必要なのだ、と石蔵氏は説く。

「家族に会うのを楽しみにしていた高齢者は、帰省自粛で楽しみを奪われてしまう。人に会えない、喋れないという状況は、心の病につながります。特に75歳以上の高齢者は、家族が定期的に会って健康状態を確認すべきです。動いているところを生で見ないと、わからないことがあります。電話やオンラインでは、日常的にどんな動作をしているか確認しきれません。座っていれば大丈夫でも、立つと足腰がフラフラすることもある。また、電話だけでは認知症に気づけないことも多いのです」

 全国知事会は〈電話やオンラインを通じた「帰省」を検討しましょう〉と訴えていた。その結果、高齢者のフレイルが見逃されてしまえば、知事たちが強調する〈大切な「ふるさと」と命〉は、損なわれるほかない。いったいどう責任をとるつもりなのか。

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