「将棋と囲碁」子どもにやらせるならどっち? ビジネスに活きるのは 棋士の収入比較

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「将棋」と「囲碁」子どもにやらせるならどっち?(2)

 子どもにやらせるなら将棋と囲碁、どっち?をテーマに著名人が持論を展開。「学力」について語って頂いた前回につづき、今回は「就職」や「収入」という“実”について、である。

(「週刊新潮」2018年2月22日号に掲載された記事を再編集したものです。肩書や年齢は当時のものを使用しています)

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 大隈重信は「将棋は戦い、碁は経済である」と評した。「王」の首を取る将棋と、相手と妥協を重ねながら利益、つまり自陣を増やす碁を端的に言い表したのだ。

「囲碁と経営はほぼ一緒で、類似性は非常に高いと実感しています。私は40歳から始めましたが、経営の感覚を磨くのに囲碁を打つことはとても重要なんです」

 と語るのは、ベンチャーキャピタルのグロービス・グループ創立者で、経済同友会幹事も務めた堀義人氏(55)だ。いったい将棋と何が違うのだろうか。

「将棋は王を取るだけの直線的なゲームですが、経営はそんな発想では成り立ちません。経営者は単純に売り上げを増やす、競合他社を潰すといった相手を打ちのめすことばかり考えるのではなく、広い世界で自分の陣地を増やしていくのが目標です。自社のマーケティングや財務、人的資源管理に目を配りながら、ライバルの経営戦略との相関関係を理解する。良い経営者はそうした大局観を持つからこそ、変化に応じ適切な指示を出せるのです」

 そんな戦略的思考を子どもに教えるのに、囲碁は最適だと堀氏は言うのだ。

「私は5人の子ども全員に囲碁を習わせていました。彼らが負けた時、私はなぜ負けたのかと必ず尋ねます。運が悪かったとは決して言わせない。配牌によって勝負の行方が左右される麻雀とは違いますからね。言い訳ができない子どもたちは、自分の力で勝つため、戦略を必死に練るようになる。そのおかげで、毎年夏に開かれる全国大会では、私の子どもたちが中心となったチームが3連覇したんです」

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