韓国で最も「尹美香=挺対協」を知る記者の告白、「6年に亘る我が闘争」

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なぜ日本関連については誤報を出しまくっているのか

 韓国における慰安婦のシンボルであった李容洙(イ・ヨンス)さんの告発によって、尹美香(ユン・ミヒャン)=挺対協(正義記憶連帯)が重ねてきた不実や悪事が露見した。それよりもずっと前の2014年に尹美香がらみの記事を書き、刑事と民事の両方で訴えられたメディアがある。メディア批評を展開する「メディアウォッチ」がそれで、1977年生まれの黄意元(ファン・ウィウォン)代表取締役が、先の選挙で国会議員にまでのぼりつめた尹美香との闘いを振り返る。

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 私は日本とはいかなる縁もない。ビジネス関係もない。同世代が漫画やアニメ、ゲームなど日本の文化コンテンツを好んでいたのに対し、それほど興味もなかった。そんな私がふとしたところから韓国社会では売国奴呼ばわりされ、韓国では触れてはならない聖域である慰安婦問題に首を突っ込み、その真実を暴露しようと考えるに至ったか説明しよう。

 それはまったくの偶然だった。私は十数年前から「メディアウォッチ」というメディア批評を展開するネット媒体の科学部、学術部記者を務めていた。つまり、日本を含む海外メディアは専攻ではなかったが、「韓国のメディアはなぜ、海外ニュースの中で日本関連については誤報を出しまくっているのか」についてはいつも不思議でならなかった。

 決してあってはならないが、メディアであれば誤報を出すことはないわけではない。だが、特定国家に関連して体系的、周期的に誤報一色になるのは、ミスや錯覚ではなく、そこに闇があることを意味する。

 日本でも、『韓国「反日フェイク」の病理学』などの著書で知られる崔碩栄(チェ・ソギョン)氏と筆者は2000年代後半からインターネットを通じて知り合い、韓国社会の反日現象について話してきた。崔氏は2010年に関連著書『キムチ愛国主義―言論の理由なき反日』を出版。左派団体のスキャンダルや、韓国のマスコミの偏向報道の真実などに関する情報を入手してメディアウォッチに寄稿し、韓国社会に蔓延する多くの嘘を暴き、真実を白日の下にさらした。

 2013年に、朴裕河(パク・ユハ)世宗大学教授の『帝国の慰安婦 植民地支配と記憶の闘い』が出版された。本書は2007年に上梓された李榮薫(イ・ヨンフン)教授の『大韓民国の物語』と共に、慰安婦問題の核心である「強制連行説」などに対し、懐疑的立場を表明したものだ。慰安婦問題という単一テーマで出版された本としては、史上初めて異説を唱えたといえるだろう。

 筆者は朴教授と政治意識や理念は多少異なるが、慰安婦問題に関連して画一化した声に疑問を感じていたという点では立場を同じくし、少数派であることからも同志と意識していた。

 朴教授が2005年に『和解のために 教科書・慰安婦・靖国・独島』を出版し、韓国最大の聖域を揺さぶってからというもの、朴教授の何か役にたてないかと考えていた私は、13年の『帝国の慰安婦』出版を好機と捉え、14年に「『従北』容疑が提起された関連団体、挺対協」という記事を執筆することになる。

 見出し通りの内容であり、今となっては日本でもよく知られるこの記事を発表した当時、筆者はある女性記者の名を借りねばならなかった。男性記者が女性団体の権力構造を批判することで、批判の矢面に立つことになると考えたからだ。その後、良心の呵責から執筆記者名を実名としたが、あろうことか今度は、尹美香(ユン・ミヒャン)=挺対協から刑事告訴された。

 もちろん筆者だけでなく、朴教授も挺対協やナヌムの家から訴訟を起こされ、その後も正論を述べた保守勢力や媒体らもことごとく訴えられた。当時は朴槿恵(パク・クネ)政権で、李明博(イ・ミョンバク)政権から受け継いだ「親中反日」をベースとし、特に慰安婦問題に関しては、前政権よりも後退した感があった。だが、中国との関係がギクシャクするようになると、日本との同盟を再び強化する方向へ舵を切ることになる。

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