コロナ禍で愛人と“おこもり”したタイ国王 国民は前代未聞の王室批判を展開

国際 2020年5月27日掲載

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ヌードパーティー映像が流出

 タイ国民を唖然とさせた現国王の振る舞いは、実は今回が初めてではない。国王は皇太子時代からタイの王室行事には参加せず、1年の大半を王室が所有するドイツ・ミュンヘンの“別宅”で過ごしてきた。今回のスクープを放ったドイツ誌『ビルト』は、そんな国王の奇行ともいえる振る舞いをたびたび報じてきている。例えば、16年に撮影されたドイツ・ミュンヘン空港での一枚。深々と頭を下げる王室スタッフを横目に、当時まだ皇太子だった国王は、おへそが丸見えの超短い女性用のタンクトップ、シニア男性用とは思えないタイトジーンズをはき、女性用サンダルをつっかけている姿だった。ほぼ半裸といえる上半身には、カラフルな色で描かれたタトゥ―風のペインティングが施されていた。

 国王就任以降の17年4月には、やはりドイツのショッピングモールで愛人と買い物に興じる姿が激写された。前述と同様の独特のいでたちで、前方には、靴を履いたロイヤル・ドッグが闊歩。さらに、銃を構える王室警備員が随行。彼らはタイ国軍とは別に存在する5000人規模の軍隊だ(BBC報道、2016年12月)。

 遡れば07年には、タイで目を疑うようなヌードパーティーの動画がSNS上で拡散された。この映像は、英紙「デイリー・テレグラフ」の視聴数ランキングでトップに躍り出たこともある。

 これは、まだ皇太子だった国王の3番目の妻で、元ストリッパーともいわれるシーラット皇太子妃が王族を招待した30歳の誕生日パーティーで撮影されたもの。客人を前に、妃はティーバックだけのほぼ全裸で、傍らにはロイヤル・ドッグのプードル犬「フーフー」(タイ空軍の大将位を授与されている)を従えている様子が収められている。

 ちなみに国王については、日本を巡るこんなエピソードも――1987年、両国の修好100年の記念式典参加のために来日した際、タイ側から日本側の対応を「非礼」だと批判する声が上がった。

 当時、タイ側の意見を代弁しているとされた現地紙『タイ・ラット』が書いた「非礼」の点は、「鎌倉訪問時、皇太子を乗せた車の運転手がトイレに行くために停車した(タイ側に許しを得て停めたと後藤田官房長官=当時=は釈明)」「名古屋で行われたラーマ5世銅像除幕式で、引き綱を地面から拾い上げさせられた」といったものだった。

 結果、タイでは反日運動が展開され、事態収拾のため、当時の中曽根首相が謝罪を強いられることとなった。もっとも、タイで発禁処分となった『国王は決して微笑まない』(2006年、米イェール大出版、日本未訳)の著者、ポール・ハンドリー氏は、当時皇太子だった国王を“暴力、スポーツカー、うさんくさい取引を執拗に好むわがままな男”として書いている(『NYタイムズ』書評より)。この本の中では、“日本の一件も国王が招いたものだ”とするCIA機密文書の存在が紹介されてもいる。

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