緊急事態は継続へ…コロナ自粛で増加中「闇営業」酒場から実況中継

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 昨年まで闇営業と言えば、芸人のコッソリお小遣い稼ぎのことだったが、コロナ禍では全く意味合いが違ってきた。緊急事態宣言の解除は難しいと安倍首相も言及した今、異口同音に「もう自粛はしない」の声が聞こえて……。

俺たちはふざけて呼んでるけど

 午後9時。平時なら酔客でごった返す東京・北区赤羽の商店街は死んだように暗く静まり歩く人もいない。通りを覆い尽くす派手な電飾看板はほとんど消えている。

 安倍首相による緊急事態宣言発令から約3週間。小池都知事の営業自粛・時間短縮要請で居酒屋、スナック、ナイトクラブなどは休業もしくは夜7時で酒類の販売停止、多くの店が8時までにシャッターを下ろす。

 東京屈指の酔っぱらい天国・赤羽もコロナウイルスには勝てなかったようだ。

 ところが、中には午後8時以降も酒を飲める居酒屋もある。商店街の入口近く、そこ一軒だけに煌々と明かりがともり、店の前には呼び込みの女性店員が立つ。

「やってますか?」と聞くと「11時まで営業してます」。店に入ると、10席ほどのカウンターに2組、5卓あるテーブルにも2組の客。意外に若いカップルが多く、二人で親密に飲んでお喋りしている。混雑はしておらず、かなりヒマな店内だ。

「営業してますけど、いつもヒマですよ。以前の10分の1ぐらい」

 店員も諦め顔だった。近くに座る赤ら顔のサラリーマンが状況を説明してくれた。

「この店は4月以降もずっと平常営業。こういう店があって助かってます。早い時間に家に帰っても私には居場所がないんで(笑)」

 夜間営業する居酒屋・スナックは赤羽のこの店だけではない。東京都内の繁華街、商店街には自粛要請なにするものぞ、遅くまで営業を続ける飲み屋が少なからずある。

 豊島区のある居酒屋も8時以降の営業を続けている。

 ここの店は看板や赤ちょうちんの灯を消し、暖簾を下げて店内は平常営業。8時半頃に店内を覗き、店主に「いいですか?」と訊ねると「どうぞ」と笑顔で迎えてくれた。客がいれば12時頃まで営業するという。

 カウンターで飲んでいる二人連れの客に聞く。

「俺たちはふざけて『闇営業』って呼んでるけど、我々は常連客だし店主も許してくれるし、誰かに文句を言われたら『身内で飲んでるだけだ、営業じゃない』って言い訳するから(笑)」

「うちの会社は中小企業でテレワークに対応できないし残業もあるから、この時間まで営業してくれる店がないと困るの。会社で顔突きあわせてる相手だから、一緒に飲んでも感染拡大しないよ」

 違法ではないから厳密には「闇」ではないが、「闇営業」にはどこか酒好きの好奇心をそそる響きがある。店主に「闇営業」を続ける理由を聞いた。

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