緊急事態は継続へ…コロナ自粛で増加中「闇営業」酒場から実況中継

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キャバレーやナイトクラブとは違う

 このまま緊急事態が継続すれば「闇営業」の店が増えるのは目に見えている。その一方で、後ろめたさを感じながら「闇営業」する店が、周囲からいわれなき中傷をうけないかも危惧される。

 そもそも行政が「夜間外出の自粛」を要請するのはなぜか。3月末に専門家が「キャバレーやナイトクラブなど『夜の街』で感染が確認された」と会見したことが根拠だが、キャバレーやナイトクラブと居酒屋は違う。

 3月末と現在の状況も違う。店員や客同士が安全な距離をとり、多人数での会合の自粛を呼びかけ、コンビニのレジのようなビニールカーテンを活用するなど、対策をとらせれば居酒屋や食堂まで休業させる必要はないはずだ。

 むしろ一概に「夜間外出自粛」を求めるのは経済活動の無意味な縮小を招き、庶民の娯楽を奪うことになる。「夜間外出自粛」がコロナ対策として本当に効果があったのか、後日検証が必要だろう。

 習慣とはおそろしいものだ。夜間外出自粛に慣れた人々が酒場離れを起こしてしまうことも考えられる。これは本当に、酒場の危機なのだ。

 コロナショックをきっかけに、世界が認めた有力な観光資源であり、国内経済の活性剤だった酒場文化が失われることがないよう、今後の行政の対応には厳密な根拠づけと慎重さを求めたい。

藤木TDC
1962年生まれ。ライター。映画、酒場ルポ、庶民史等のテーマを中心に雑誌・書籍に執筆。著書に『消えゆく横丁』(ちくま文庫)『東京戦後地図 ヤミ市跡を歩く』(実業之日本社)『アウトロー女優の挽歌 スケバン映画とその時代』(洋泉社)ほか多数。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年4月30日掲載

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