スマホ拾った? 戻しとけ――指示した警官が書類送検

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 スマホの忘れ物なんて珍しくもないが、拾った側の人はちょっと困惑するかもしれない。それは警官とて同じことなのだろうか。

 ことの発端は2018年11月27日。千葉県警行徳署の警部補と巡査部長、巡査長の3人が、他人の自転車を持ち去った男に任意同行を求めた。

「任意捜査なので、取り調べた後、身元引受人に迎えに来てもらわないといけない。ところがなかなか見つからず、夜11時までかかった。その時点で男が拾ったスマホを持っていたことに気づいたものの、事件処理をせずに警部補が『拾った場所に戻しておけ』と言ってしまった」(警察関係者)

 他の2人の警官も警部補の判断に同調。このスマホがネットショピングで悪用され、被害届が出されていた事実はかくて見逃されたが、

「男は律儀にスマホを元の場所に戻し、無事に持ち主のもとに戻っている」(同)

 そして昨年9月、男が別の窃盗容疑で再逮捕された際にスマホの件も発覚。半年の調査を経て、今月6日に3人は証拠隠滅と犯人隠避の容疑で書類送検された。

 千葉県警監察官室は、

「再発防止に努めます」

 というが、件(くだん)の警部補はパトカー勤務で、スマホを適切に扱わなかったワケを「早く町の警邏(けいら)の仕事に戻りたかったため」と語っていたそうだ。単に面倒だったのかとも映るが、

「同情の余地はない」

 とは、元刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏。

「スマホは8万円から10万円はします。例えば、それだけの金額が入った拾得物の財布を『元の場所に戻せ』と警官が言ったとしたら、いかに非常識かが分かるでしょう。書類送検も当然。警部補は減給処分も受けていますが、千葉県警の処分は妥当だと思います」

 せめて、お巡りさんの迷惑にならないためにも、出かける際はスマホをなくさないようにしたいもの。

週刊新潮 2020年4月23日号掲載

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