そういえば、おまわりさんはどこから交番に現れるのだろう 警察官の“超リアルな日常”とは

社会2018年6月26日掲載

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 4月スタートの民放ドラマで、相変わらずの強さを見せたのがテレビ朝日の刑事ドラマ。「警視庁・捜査一課長シーズン3」「特捜9(ナイン)」「未解決の女 警視庁文書捜査官」、いずれも安定して2ケタの視聴率を稼ぎ、最終回を迎えたのである。

 人気の背景には、概ね一話完結で大団円を迎えるという安心感もあるだろう。また、一般の人たちはこの「業界」に強い関心を持っているから、という点も見逃せない。

 日常生活でかかわりたくはないが、警察官はふだん何をしているのか、どういう人たちなのか、ということには興味が湧く。しか、気軽に交番や警察署で質問することもできない――そんな気持ちが視聴者の側にはあるのかもしれない。

 元警察庁キャリアで、警察大学校主任教授を務めたこともあるという経歴を持つ作家の古野まほろ氏が、そんな一般の素朴な疑問に答えるべく著したのが、新著『警察官白書』。

 同書から「刑事ドラマ」「警察ドラマ」には出てこない警察官の日常、素顔をいくつかご紹介してみよう(以下は、引用はすべて同書から)。なお、同書では話をわかりやすくするために、あえて警察官のステレオタイプをキャラクター化している。

 第1回目の今回は、私たちにとってもっとも身近な存在。交番のおまわりさん、「警察太郎」さんの日常である。

 まずは「通勤」。ドラマなどでは、登場人物のおまわりさんは、いつの間にかというべきか、いつも、というべきか交番にすでに存在している。が、冷静に考えれば、そこに住んでいるわけではない。通勤しているのだ。

 そして、交番には自宅から直行とはいかない。

「というのもまず、朝礼なり朝会なりがあるからです。それは警察署の訓授場(くんじゅじょう)・講堂といった施設で行われます。それに出て、24時間勤務についての指示や、当面の重要課題などについての訓示を受けなければなりません。またそもそも警察官は、制服・装備品を自宅に持ち帰れません。それらを保管するのは、警察署です。

 こうしたことから、太郎さんは、まず警察署に出勤します。

 警察署の更衣室で制服を着、着けられる装備品は着け、受領すべき装備品は受領する。そして朝の指示・訓示を受け、警察署から、自分の△△交番に出撃する――

 なお、『イベント期間』においては、あるいは署長・副署長の気合の入り方によっては、柔剣道の朝稽古(あさげいこ)が開催されますので、制服等を着用する前に、警察署の道場でひと汗(大汗?)流すことになるでしょう。その『熱心さ』も、観察されます」

 まずは、所属の警察署に出勤し、一連の決まりごとをこなしたうえで、警察太郎さんはようやく交番へと出向くことになる。警察署から歩いてすぐのところに交番を置いても意味はないので、多くの場合、自転車で出撃することになるという。

「おまわりさんのポリチャリで、悲しくなるほど道交法を守り(さもないと即、署に苦情の電話が入る)、知り尽くした裏道を駆使(くし)しながら、交番へひた駆(か)けます」

何でも共用

 さて、こうして到着した交番。

 落し物を届けたり、道を聞いたりするために誰もが一度は入ったことがあるだろう。が、その「ハード面」については意外と知られていない。その実情を古野氏はこう明かしている。

 たとえばトイレ。新しく作られて、スペースに余裕がある場合は、女性用トイレが設置できている可能性もあるが、「狭い、昭和の香りがする交番で洋式を期待するのは無理」とのこと。

 また、意外なのは個人所有のデスクがないということ。

「施設そのものが、3交替制の施設だからです。この、個人割り当てでないという点は、立番(りつばん)のおまわりさんが時々構えている『ひのきぼう』みたいなあの警杖(けいじょう)とか、民間でも利便性が認められているあの刺股(さすまた)などの装備資器材についても、同様です」

 このくらいならば我慢できるだろうが、布団や枕も共用となると、潔癖症の人には辛いかもしれない。

「これらは紙カバー等を使って、できるだけ汚さないよう共用します。布団を敷くのは、たいてい奥の方か、あれば2階にある畳の間ですが、狭い交番だと、スチールデスクの島の上に(さすがに1人分)敷いてしまうこともありました。

 そしてこの畳の間か、お客様から見えないオフィス部分で、出前の麺類だの丼物だのをいただきます。

 あまりにドタバタしていれば、食べる時間もありませんが……5時間遅れの昼御飯が、ラップの下でぶよぶよになっている脂(あぶら)の固まったラーメンというのも、かなり悲しいものがあります(「だから今日は汁物はやめろと言ったのに!!」と怒られた記憶がいま甦(よみがえ)りました)」

 体験者だからこそ語れる、ドラマとは異なるリアルな警察官の一場面である。

 次回は、刑事のステレオタイプ「刑事太郎」の日常を見てみよう。

デイリー新潮編集部